【中小企業診断士独学勉強法】実務補習の疑問いろいろ~5日間でやること②~

診断士実務補習

今回は、実務補習全5日間のうち、2日目と3日目に挟まる一週間と3日目の流れを書きたいと思います。

5日間のざっくりとした流れ~2日目までの記事⇒コチラ

以下で記載する進め方は、どの班でも共通的に行う実務補習でないかもしれませんが、実務補習15日間計3社の企業分析を行って、一番良いであろう方法を私見を交えて紹介していると認識してもらえればと思います。

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間の一週間:黙々と自宅??で作業

盛り沢山の2日目終了後、ここから一週間は一人での戦いとなります。

基本は報告書作成作業

間の一週間の作業は、基本的には役割として受け持った部分の報告書作成作業が中心になります。

その他、2日目の議論により別途追加でデータ分析等が必要になった場合はその作業も行います。例えば、マーケティング担当で企業から顧客データをいただいた場合は顧客データ分析を行ったり、人事・組織担当で従業員の給料データ等をいただいた場合はその分析作業を行ったりします。

分析作業をどこまでやるかはその班次第ということではありますが、実務補習先の経営者の方から色々なデータをいただけた場合、結構大変になるかと思います。いただいた以上は期待に応えないといけません!

報告書は3日目が始まる前までに完成を目指す

3日目(次の土曜日にメンバー全員で会う日)までには、自分なりに満足いく水準まで報告書を仕上げておいたほうがよいです。

3日目がはじまると後は全員でのすり合わせと解決提案の具体化に時間を割くことになり、ほとんど作業する時間はとれません。全員で一つの報告書にまとめて全体を俯瞰したときにはじめて気が付くことも多々ありますので、3日目の時点で一人だけ進捗が悪い…となると全員に迷惑がかかることになります。

初回の実務補習は睡眠時間がやばいことに

このように、2日目と3日目の繋ぎの期間中だからといって休憩できるわけでなく、個人作業という視点では勝負の期間となります。

2日目の議論の個人的振返り⇒分析⇒報告書作成を仕事を終えてから夜中に黙々と続けることになります。

この期間中の睡眠時間は3~4時間になることもあるかと思います。

私の例でいいますと、実務補習期間中は職場からの仕事量に対しての情状酌量は全くありませんでしたので、10時くらいまで仕事をして、そのあと家に帰って2~3時まで報告書を書くという生活を送っていました。なお、2社目以降は作業の要領や手を抜けるところがわかってくるので最大の山場は1社目と考えてよいと思います。

作業はドロップボックスでやると勇気づけられる

メンバー全員で1冊の報告書を書きあげることになりますので、全員バラバラで作るとあとでマージするのが大変になります。また、メンバー間でのファイルのやり取りをするにもいちいちメールでやっていると面倒くさくて仕方がありません。

そこで、実務補習ではドロップボックスを使用してファイル共有することが多いです。ドロップボックスは実務補習で推奨してる??と思うほど一般的なツールになっており、実務補習前の指導員とのやり取りもドロップボックス経由になることが多いです。ドロップボックスって何??という方もいるかと思いますが、いざ使うという局面になるとすぐにできますし、UIが優れていますので慣れるので大丈夫です(恥ずかしながら私も実務補習ではじめて使いました)。

話を戻します。

作業期間中は夜中に黙々と孤独な作業を行うことになりますので心が折れそうになります。そんなときに勇気づけてくれるのがドロップボックスです。

使ったことがある方は分かると思いますが、他のメンバーの誰かが共有フォルダ内のファイルを閲覧や更新をすると画面右下にポップアップで表示されます。「2:40〇〇さんがファイルを更新しました。」とかみると自分も頑張らないと!と勇気づけられます。

リーダーは作業進捗の確認も

リーダーは作業進捗を管理する必要があります。

実務補習は4~7人程度ですが、4、5人チームであれば進捗管理しなくてもなんとかなると思いますが6人を超えるとしっかり管理していかないと進捗がバラバラになり、最終的に報告書を取りまとめられないなんてことになりかねないです。

このようなことが起きないように、私の班ではリーダーの司会進行のもと、作業の中間日である火曜日にメンバーのみでウェブ会議を開催していました。時間は1時間程度の会議ですが作業進捗をそれぞれ報告し合い、その時点での悩み等を共有することで軌道修正を図っていました。

ちなみにウェブ会議は、Skype、zoom、whereby等無料でできるアプリが色々あるので、使いやすいものをチョイスすればよいと思います。

こんな感じで睡魔と戦いながら間の一週間を過ごすことになります。

3日目(土):解決案を中心とした実質最終討議日

作成資料の共有(マージ)から開始

孤独な作業を開始して早一週間。いよいよ3日目が始まります。ここからはあっという間です。

朝集合したらまずは各メンバーが作成してきた資料の共有作業から開始します。

その際、個人ごとの資料をバラバラに確認することは非常に効率が悪いので一旦リーダーがドロップボックス上でマージしてしまうことをおススメします。表現がバラバラ、改行がバラバラといった様にマージして初めて見える景色もあります。3日目の最初の時点でこの辺をあわせておくとそのあとの作業が楽です。

なお、できればですが、マージは所詮作業なので前日の夜くらいまでを各メンバーが作成する報告書の提出期限として設定しておき、3日目早朝の議論が始まる前までにリーダーが報告書の体裁を整えつつマージしておくと尚良いです。これをやっておくとマージ中に他のメンバーが手持ち無沙汰になるといったことを防ぐことができます。

全体のストーリーを確認⇒担当者ごとに記載の説明

マージを終えたらメンバー全員で報告書全体のストーリーを確認します。これを行う主な目的は以下のとおりです。

  • 2日目終了時点で確認した報告書の骨格が文章を載せてもイメージ流れているか
  • 他のメンバーの担当箇所に自分が思い描いていたパーツが入っているか
  • 自分の記載箇所の前までには説明済みとなっているはずの記載があるか

この作業をやると、意外とヌケモレが生じていることが発見できます。実務補習の同じ班メンバーとはいえ、ここまで顔を合わせたのは2日間のみです。互いに意思疎通がキチンとできているとは限りません。

作業者毎の悩みを共有する

大まかにストーリーを確認したら、今度は前から順番に担当ごとに記載した詳細を確認していきます。確認方法は、単純です。

メンバー毎に担当した章を説明していく。そしてそれに対して他のメンバーが質問する。

これだけです。

この作業を行うことによって、説明者は報告会の事前練習ができ、自信のない箇所はうまく説明できないことがわかりますし、他のメンバーから質問を受けることによって報告会本番での質疑応答の練習にもなります。当然この時点では完成途上ですので、報告書を書いている際に悩んでいる点等をメンバーに相談できる良い機会にもなります。

ここの作業と前記した全体のストーリー確認は一緒に行っても良いと思います。この辺は好みです。

報告書修正はその場では行わない

説明をすると報告書の修正をしなければならない点が現れると思います。しかし、その場で修正作業をするのはやめましょう。時間がもったいないです。あくまで9時17時の時間はメンバーで討議する時間と割り切り、個人でできる作業はその日の夜に行いましょう。

課題解決提案の検討

ここまでの作業で、完璧とは言えないまでも、報告書全体の形はできていると思います。最後にやるべきは課題解決提案を検討することになります。

実務補習先の経営者が実務補習生に最も求めているものが課題解決提案になります。正直、経営者にとってはどこの馬の骨かわからない人達(失礼!)に多くの期待はしていないと思います。但し、少しでもいいアイディアがあれば取り込みたいと思っているはずですので、課題解決提案は多ければ多いほどよいと思っています(思っているはずです)。

では課題解決提案だけを最初から重点的にやってしまえばよかったではないかと思いがちですが、それは違います。ここまで行ってきた、事実確認から分析結果、戦略の方向性、重要課題の提示があって初めて納得感のある提案ができることになります。このプロセスを実現できるかが、経営者にとって、どこの馬の骨かわかない人達からコンサルタントとして信用に足り得る人となるかの分水嶺になるのではないかと思います。

従って、戦略の方向性に沿いつつ重要課題を解決するための提案をメンバー全員で出し合うことが重要になります。

できるだけ多くの案をだす

課題解決提案はできるだけ多く出しておき、イマイチなものはあとで取捨選択をしていくスタイルで進めるのが良いと思います。

案の出し方は重要課題毎にブレストで出す方法が一番オーソドックスだと思います。重要課題毎にというのがポイントで、事前に課題別に出しておけば、その後課題毎のグルーピング作業の手間が省けます。

2社目以降は事前に考えてくる

1社目は、進め方の勝手がわからない状況ですので上記のとおりブレスト形式がベターです。しかし、2社(周)目以降は、あらかじめ課題毎に1人3~4案程度を3日目が始まる前までの宿題としておくと相当余裕をもって3日目を終えることができると思います。

案の絞り込みはそんなに行わなくてもよい

ある程度の数の案が出てきたら、案の絞り込みを行います。

ここで注意したいのは案は絞りすぎなくて良いということです。解決提案を実行するのはあくまで実務補習先の企業であって、実務補習生ではないです。

経営者にとっては2時間ちょっと話を聞いてこいつらに何がわかるんだという気持ちが少なからずあると思いますので、できるだけ多くの提案をしておき、これは使えるな!と思ってもらえるものがあったほうが良いと思われます。

従って、絞込みは以下の2点にだけ注意して行えば良いと思います。

  • 戦略の方向性や重要課題の解決といったストーリー沿った内容となっているか
  • 企業の経営資源に照らし合わせて実行可能なものであるか

ちょっとだけ解説します。

戦略の方向性や重要課題の解決といったストーリー沿った内容となっているか

ここまで時間をかけてストーリーを整理してきたのに、この流れを全く無視した提案になると聞く方(経営者)としては、いきなり何を提案してきたの??と報告書及びコンサルタントたる実務補習生に対する信用度が一気に落ちてしまいます。なので、ここまでの議論で構築したストーリーに則った提案にします。

企業の経営資源に照らし合わせて実行可能なものであるか

中小企業は大企業に比べてヒト・モノ・カネの経営資源が不足しがちです。無借金の健全経営を続ける企業であっても、数百万円から一千万円を超える単位の投資は厳しいものです。従って、これならお金をかけずにできるな!と思ってもらえる提案があると良いと思います。

もう一つ加えるならば、経営資源をあまり投下しないものの、直ぐに実行できるものと1~2年時間をかけないと実行できないものを両方提案できるとよいです。後者のイメージとしては組織の修正が必要なものや社員の意識向上・能力向上を図るためのものが多いのではないかと思います。

最終的に重要課題毎に3~4つが成案化できると良いと思います。

提案のフォーマットは合わせておくと読みやすい

複数の解決提案を用意する場合、一人で全部書ききるのは難しいです。とはいえ、分担するとそれぞれ書き方がバラバラで読み手からは分かりづらくなってしまいます。

というわけで、案の絞り込みがある程度終わった段階で概ね以下の要素を含むように項立てし、解決提案のフォーマットを作ってしまうと良いと思います。

  • 提案のねらい
  • 提案内容の実施内容、具体的な実施手順
  • 実行にあたって難しいと考えられる点
  • 難しいと考えられる点を克服するためのアイディア
  • 提案の実行によって競合と差別化できるポイント

上記の要素を盛り込んだうえで、読み手のことを考えると解決提案一つにつきA4一枚程度におさまるように作ると良いと思います。

これらの工夫をする理由は、あくまで報告書の読み手は経営者であること、そして実行するのは企業の社員であることと考えると良いと思います。経営者にこれは良い提案だ!と思ってもらえた時に、報告書の状態でそのまま社内で共有できるものを報告書として提供できるとベストだと思います。

解決提案の詳細の記載は夜にやる

解決提案についてある程度議論し、フォーマットが決まったらあとは家で作業するようにします。ここまでメンバーで目線を合わせておけば大きくずれることはないので黙々と作業するだけになります。

概ねここまでで3日目が終了するのではないかと思います。

実務補習完了に強制的に提出させられる様式は手間をかけずに

すっかり記載を忘れていたので一応書いておきます。

実は実務補習完了に必要な資料は、ここまで説明してきた実務補習メンバー独自で作成する任意様式の報告書とこれと一緒に提出する中小企業庁から決められた定型フォーマットの付属資料(A47~8枚程度)の2種類となります。

この付属資料がないとどれだけ立派な報告書を作っても、対象企業の実務補習を終えたとは(中小企業庁から)認められません。

付属資料は肩の力を抜いて

付属資料は手…肩の力を抜いて、メンバー間で手分けして作成してしまいましょう。

というのも、付属資料は実務補習先の最終報告には使わないからです。付属資料は、どの班も同じ様式で作るので、実務補習の最終結果として形式的にお役所が保存するモノと考えてよいでしょう。

指導員によっては細かい指摘をされる方も…

私の班の指導員の先生は、付属資料は報告には使えないということを最初から説明してくれていました。また、非常に融通の効く方でしたので、こんなの適当に作ればいいよ(小声)といってくれる方でした。助かりました。

しかし、付属資料にどこまでこだわるかについては指導員によって異なるようです。

我々の近くで議論していた班では付属資料の体裁だけで2~3時間議論しているところもあり、こだわりを持たれている指導員もいらっしゃるようです。このあたりは指導員の進め方に従わざるを得ない部分がありますので、粛々と作業を進めましょう。文句を言っても仕方ないです。

付属資料の作成は間の一週間で済ませてしまうのがベター

本来は前回の記事で書くべきだったのですが、付属資料は無駄に細かい(失礼!)部分もあるのでできれば2日目が終わった時点で担当資料を割り振って作業しておいた方がよいです。というのも記載箇所によってはヒアリングのみでは記載できない部分もあるため、対象企業に対して追加で質問したい場合、3日目終了時点からの作成では間に合わない恐れがあるからです。

ちなみに対象企業への追加質問が間に合わない場合は、こそっと指導員にその箇所の情報を教えてもらう方法も採れますが、これは指導員と生徒または指導員と実務補習先経営者との関係次第によるところもありますので、過度な期待は禁物です。

なお、付属資料には財務分析部分がありますが、これは前回少し解説したMCSSというソフトで数値を入力すると自動作成されますので簡単です。

まとめ

今回は、間の一週間と3日目の具体的な進め方について書きました。

体力的には一番ハードな期間だと思います。但し、ここを乗り越えればあとは楽ちん♫です。特に課題解決提案は今まで働いたことのない業界についてのアイディア出しになりますので難しいですが、戦略の方向性と重要課題をしっかり柱立てできていればブレない良いものが出せると思います。

意外と自分の働いている業界では常識的に行われていることが実務補習先の中小企業では全くできていないといったことがあります。そういった提案が経営者の琴線に触れるということがありますので、恐れずに色々なアイディアを出していくと面白いと思いました。

今回はここまでです。次回は、4日目から最終日までの流れを書く予定です。 最後まで読んでいただきありがとうございました。

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