今回は、実務補習全5日間のうち、4日目と最終日の流れを書きたいと思います。
5日間のざっくりとした流れ~2日目までの記事⇒コチラ
間の一週間~3日目までの記事⇒コチラ
以下で記載する進め方は、どの班でも共通的に行う実務補習でないかもしれませんが、実務補習15日間計3社の企業分析を行って、一番良いであろう方法を私見を交えて紹介していると認識してもらえればと思います。
4日目:議論できるのは午前中だけ!
4日目は話し合っている時間はほとんどない
具体的な作業に入る前に4日目の位置づけについて書きます。
4日目は午前中こそ議論できる時間がありますが、午後に入ると指導員の報告書記載チェック、各種体裁の最終調整作業に入ります。加えて、所定の時間である17時までに翌日使用する報告書の印刷まで完了しようとすると16時前には会場を出て印刷屋に行かなければなりません。
従って、4日目は議論する日というよりも翌日の報告会の準備をする日と捉えたほうがよいと思います。
では詳細を書いていきたいと思います。
午前中はザっと全体確認後、課題解決提案のブラッシュアップ
この日も資料のマージから開始
3日目と同様に、この日最初にやるべきは各自が作成してきた資料のマージからです。前日の段階である程度書式等は合わせているはずなので、すぐにできるのはないかと思います。
リーダーがチャチャッとやってしまいましょう。
マージができたら全体ストーリーを確認
マージ作業を終えたら、資料構成に沿って、パーツ毎の記載担当者から簡単に前日から変更・修正した点を説明し、前日までに議論してきた内容にヌケモレがないかを全員で確認していきます。
万一、ここで記載のヌケモレがあった場合は、この日は報告書の印刷まで行わなければいけないため、家に持ち帰って直す暇はありません。従って、このようなことが極力発生しないように、前日までに各自で納得いくまで記載を詰めておく必要があります。なお、直す時間は午後一に修正時間を設け、そこで直していくとよいです。
ここまでを10時くらいまでに終えているとイイ感じではないかと思います。
各自記載してきた課題解決提案のレベル感の統一
午前中の議論の中心はココになります。
前日までの作業で記載フォーマットをあわせ、各自で課題解決提案を作ってきていると思いますので、午前中の残りの2時間くらいを使って記載のレベル感を合わせていきます。
経営者としては課題解決提案毎に実務補習メンバーの誰が作ったかなんてことは関係ありませんので、ある提案はやたら具体的である一方、ある提案は内容がスカスカなんてことになると格好悪いです。従って、課題解決提案一つ一つについて作成責任者から簡単に説明し、他のメンバーから突っ込みを受けて記載をブラッシュアップしていく作業を行いましょう。
特に作業手順については、記載者によって記載レベルがバラつくのではないかと思います。経営者が提案を実行するうえで重要な部分はココなので、このとおりやれば実行できますよということがわかるように①~といったように番号を振って実施手順を示していくと良いのではないかと思います。
提案の記載修正については、全員が報告し終わったあとに全員で黙って修正する時間を設けて行うのが良いでしょう。報告の度にいちいち修正時間を取っていると時間がどんどん過ぎて行ってしまうと思います。
報告会で特に重点的に説明する提案を決める
これまでに紹介した手法を用いると重要課題は3~5個程度、それを解決する提案は課題毎に4~5個程度となり、最低でも12個、最大で20個になってしまうと思います。
報告会の時間は概ね2時間程度(質疑応答含む)になると思いますので、1提案5分程度の説明とすると、最低の12個提案したとしても60分になり、これらを優先すると課題提案に入る前までの説明時間がほとんど取れなくなってしまいます。また、提案を10個も一気に説明されると聞いている方も辛くなってきます。
従って、報告会で特に重点的に説明するのは課題1つに対して1個、多くても2個とするのが良いと思います。この数を目安に全員の合意のもと絞込みを行い実際に説明する課題解決提案を決めます。
概ねここまででお昼位になるのではないでしょうか。
午後一の作業は資料修正から
昼ご飯を食べて午後に入ったら資料の最終修正およびチェック作業を開始します。午前中の議論で出た意見を踏まえて1時間程度で一気に直してしまいます。
この時間はメンバー毎の作業で黙々と実施することになります。
修正が終わったらリーダーが最終マージし印刷へ
各メンバーの修正が終わったら、リーダーが一つの報告書として最終的なマージ作業を行い、報告書の完成となります。
報告書が完成したら、指導員の最終チェックが入ると思いますので、チェックしていただくために資料の印刷を行います。
指導員のチェックといっても、ここまでの議論の経過や報告書の進捗状況はすべて把握している状況ですので、実務補習レポートを審査する事務局の人(協会のヒト?診断士のお偉いさん?)が見るポイントを網羅しているか、といった点になります。
なお、資料の印刷は会場にプリンタが1~2台ありますのでそこで印刷することになります。同一会場には通常20班以上いますので確認用に1部だけ印刷します。メンバー全員分を印刷すると他の班の顰蹙を買うことになるのでやめましょう。
指導員のチェック中に翌日の報告会のシミュレーションを行う
指導員に資料をチェックしていただいている最中は暇になってしまいますので、この時間を使って翌日の報告会のシミュレーション作業を行います。
報告会は概ね2時間程度で、そのうち20~30分程度が質疑応答になりますので説明時間は1時間半程度になります。
1時間半程度の時間の割り振り方ですが、目次ベースで概ね何分くらい説明に必要かというのをざっくり決めると良いと思います。我々の班の場合だと、報告者は基本的に該当部分の記載を担当したメンバーが担当することとしていました。何も話さない人を作ってしまうと、報告会に参加した実務補習先の方からこの人はなんでいるのかな?と思われるかもしれないので、必ず全員が話すようにし、できれば報告時間も均等割りすると良いと思います。
指導員のチェックが終わったらキンコーズへGo
指導員のチェックでOKがでたら実務補習先に説明・納品するための報告書を印刷する作業になります。
ここでほとんどのメンバーが初体験の事象が発生します。
どこで印刷するの??問題です。
実務補習メンバーは普段は大企業に勤める人が多いので、カラー印刷も含め自社のレーザープリンターにデータを飛ばし、印刷完了となることが多いと思います。私もそれしか経験がありませんでした。
しかし、実務補習ではレーザープリンターなどあるはずもなく、また会場にも白黒印刷のインクジェットプリンターしかありません。報告書はカラーでキチンと製本した形で実務補習先へ納品することとなっていますので、白黒で印刷して適当にホチキス止めをしてということは許されていません(と思います)。
ではどこで印刷するのか?というと個人事業主の強い味方であるキンコーズの登場となります。あのオフィス街によくある青い文字体で書かれている看板が目印のとこです。
資料の印刷部数は、実務補習先に1部と指導員の先生へ1部、そして実務補習メンバー分数部ということが一般的になります。なお、印刷代として1企業につき5千円が協会から支給されますのでこれを原資に印刷することになります。
なにも知らないと印刷代が簡単に5千円を飛び越えてしまいます。私たちの班ではいままでキンコーズを使ったことがあるメンバーがいなかったので、初回は何も知らないままキンコーズの人に相談して印刷したら1.5万円弱かかってしまいました。ですので、うまいこと安く仕上がるように印刷しましょう。このあたりのコツについては、以下の記事で書いています。
終わったら解散!翌日の準備へ
印刷を終えたらこの日は終了です。
家に帰ってやるべきことは報告会に向けての報告準備ですが、これまで報告書は散々見てきていると思うのでほとんど準備不要かと思います。
一回くらい想定した時間内に収まるかどうかをシミュレーションをして完了ということでよいかと思います。
この日が一番よく寝れる
これは私独特かもしれませんが、4日終了後が一番睡眠時間を取れましたし、よく眠れました。というのも、5日目終了後は翌日仕事&2社目以降の準備に取り掛かることが多いので、またキツイ2週間が始まる…という感覚になるのですが、4日目終了後は翌日は話すだけという状態ですので気持ち的に楽だったからです。
また、4日目終了後は翌日報告会ということもあり飲み会を開催するということも少ないと思いますので、できるだけ睡眠時間を確保し、体力回復に努めると良いと思います。
5日目:報告会のみで楽ちん。そして次の一週間が始まる
朝から報告会!
この日は朝から報告会になります。
だいたい朝一に現地(実務補習先)集合で、報告会開始という流れになることが多いと思います。
ちなみに、私達の班が実務補習を行った3社ではいずれも朝10時から報告会を開始し、12時に終了というスケジュールでした。報告会を終えた後、協会に最終的に報告書を提出するためにすべての班が指定会場(どこかのTKP or 中小企業会館)に集合するのですが、どの班も我々と同じタイミングで会場に着いていましたので、恐らく午前中に報告会が大半だったのではないかと思われます。
では、報告会について書いていきたいと思います。
報告会の仕切りはリーダー
報告会は実務補習先企業の会議室で行うことが多いと思います。また、報告する相手方は1日目にヒアリングをした方(経営者が多い)と社員数名程度となることが多いです。
報告会のスタートは、指導員の先生からの実務補習先への謝辞から始まりますが、それ以降の司会進行はリーダーにバトンタッチされます。
リーダーからは改めて実務補習先への謝辞から始めます。そのあとメンバーの紹介をして報告会のスタートになります。
分析結果はメリハリをつけて説明
事前に想定したシミュレーション通りに進めていきますが、おそらくどの班もまずは分析結果の説明から入ると思います。
説明はただただ読んでいくと聞いている方が眠くなってしまうので、メリハリをつけて説明することが良いと思います。特に経営者の方が気になるのは、企業として弱い部分は何かという点だと思います。
とはいえ弱い部分をチクチク言っていくと険悪なムードになりかねないので、強い部分はここだけど、ここを改善するとよいといったニュアンスで説明していくと聞いていて飽きないのかなと思います。
また、メンバー同士の担当割りによっては同じような説明が重複する場合がありますが、これをやってしまうと、聞いている側からは、この人たちはちゃんと話し合って報告書を作っているのかな?と思われてしまいかねないので他のメンバーが報告している内容もきちんと聞いて、それを踏まえた報告をすると良いと思います。
課題解決提案はインタラクティブに進めるのがおススメ
1時間程度で分析結果を説明し終えたら次は課題解決提案の説明に移ります。
人間の集中力が続く時間は一般的に50分~1時間程度と言われています。従って、分析結果の説明を1時間行ったあと、続けて課題解決提案を説明すると聞いている側は飽きてきてほとんど聞いていないなんてこともありえます。また、課題解決提案は通常1つ1つがぶつ切りになることが多いので、この提案はいつまで続くんだ…?となり、結果的にあまり意味のない報告会だったな…なんて感想になりかねません。
そこで課題解決提案については、1つの提案が終わったら質疑応答の時間を設け実務補習先企業の方に話してもらう時間を作ると活発な議論が見込めると思います。
前半の分析結果と異なり、課題解決提案は具体的に実務補習先にやってもらいたいことになりますので、実行する側の企業からすればそれを実行する意図を詳しく聞き出したいでしょうし、実務補習メンバーからしても相手の反応をみることで実行してもらえそうな提案かという見極めもできることになります。
従って、課題解決提案はできるだけインタラクティブに進めるのが良いと思います。
質疑応答は課題解決提案のやりとりの延長で
課題解決提案は前半の分析結果を受けて提案していることになりますので、上記のとおり進めると質疑の途中で前半の分析結果に対する質問も相手先から受けることになります。従って、課題解決提案のセクションと質疑応答のセクションの区切りはなくなることも想定されます。
私達の班は3社とも上記のような方法で報告会を進めましたが、3社とも2時間で質疑が終わらず議論が盛況なまま報告会を終えることができました。質疑が終わらずというよりも途中からはヒアリングで聞けなかった部分を実務補習先に深堀りしてヒアリングしてその場でいろいろな意見交換や提案をするといったような形でした。これが報告会かと言われると謎ですが。
締めはあっさり
定められた時間がきたら、リーダーから報告が終わる旨挨拶したうえで、実務補習先の経営者の方から最終的な感想をいただき締めになります。
経営者はお忙しい方が多いので報告会の後に予定が入っているケースも多くあります。そのため、感想のお言葉をいただいたらそのまま実務補習先を後にすることが一般的だと思います(相手先によっては夜に再度集合して経営者も交えた打ち上げなんてこともあるみたいですが)。
報告会の詳細は以上になります。
協会への資料提出
ここまでくれば、終わったも同然です。あと惰性で進めていきます。
ランチで反省会
終わったらランチしながら反省会です。反省会といっても肩の荷が下りた状態でみんな笑顔で、ワッショイワッショイ状態です(意味不明)。お昼ご飯を食べながらビー…なんでもないです。
ちなみに、私たちの班は経験がありませんでしたが、班によっては実務補習先の経営者から罵声にも近い感じで報告書を全否定される場合もあるようです…。そんな班の方も見ましたがまるでお通夜のようでした。一番凹んでいる顔をしていたのはその班の指導員の方でしたが。
戻らなきゃいけないTKPor中小企業会館
ランチが終わったら解散…と行きたいところですが、最後に大事な作業が残っています。
資料の協会への提出です。これを終えないと実務補習完了とは認められません。
資料の提出は定められた会場で提出しなくてはなりません。報告会の実施先は実務補習先企業になりますのでそこから戻ってこなければいけないのです。
以前書いたとおり、実務補習先は一定程度住所が考慮されていますので、実務補習先から自宅を通過して会場に戻るなんてこともあります。正直面倒です。でも仕方ありません。
なお、資料提出は指導員を通じて行います。提出にあたっては、その場で協会の審査があるようです。審査は指導員にお任せなので、チェックの視点の詳細は不明ですが、必要な資料(報告書、付属資料等)に過不足ないか、報告書が所定の書式どおりに記載されているかといった点を見られているようでした。
指導員から前日までにお墨付きをもらっていれば通過儀礼のようなもので問題なく終わると思います。
提出から審査完了まで1時間程度なので、実務補習先からの移動&ランチで14時位に会場に戻ってきたとしても15時過ぎには終わると思います。
息つく暇もなく次の企業について説明
資料の提出が完了したら、息つく暇もなく2社目の説明が始まります。なお、3社目終了時の場合のみ、ここから実務補習の修了式?が終わり登録に向けた各種手続きになります(これは記載省略)。
1社目の会社の概要の伝達は指導員や各メンバーと会う前なのでメールベースでの連絡でしたが、2社目以降は指導員から簡単な概略説明と事前に指導員が実務補習先からもらった資料を連携されます。
説明時間は、だいたい1時間くらいかと思います。指導員は実務補習先企業についてよくご存じなので、1社目の経験を活かし簡単なヒアリング大会になる(指導員に対して)こともあるかと思います。
また、この時点で2社目の役割分担も決めることになります。1社目でリーダーをやっていない場合は是非立候補しましょう。
遅くても16:00にも終了
こんな感じでゆるゆるとした雰囲気のまま2社目の概要を聞き終わったところでこの日は終わりになります。
そして、そのまま飲み会へ流れていく…といった流れです。私たちの班では最終日は3回(社)とも飲み会になったので夜の予定は空けておいた方がよいです。
ちなみに少し忘れがちになっていると思いますが、サラリーマンであれば次の日は仕事ということを認識し、飲みすぎには注意しましょう。
まとめ・・・そして2社目へ
こんな感じで1社目が終了になります。
正直長いです。疲れます。
15日間コースを選択した場合、2社目は同じメンバーで1社目の反省を活かして取り組むことになりますので、1日目(翌金曜日)までにやってくることを事前に決めて動くことが多いです。従って、1社目の最終日の翌日から長い戦いが始まることになります。頑張りましょう。
こうして、1社目より2社目、2社目より3社目と時間が効率的に使えるようになるとともに報告書のクオリティが上がっていきますので、現状に満足せずに必死で取り組むことをおススメします。ここで頑張れば頑張るほど、実務補習が終わったころには中小企業診断士としてのスキルが上がっていることに気が付けると思います。
以上で実務補習の5日間の流れの解説は終了です。だいぶ長くなってしまいましたが、実務補習の1つの進め方として参考にしていただければと思います。
今回は以上です。最後まで読んでいただきありがとうございました。
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