【診断士活動】持続化補助金の申請~概要・スケジュール~

診断士活動

久しぶりの更新になります。

更新していない間、中小企業診断士仲間との新会社の立ち上げ、中小企業診断士としての各種業務、本業では新型コロナでの自粛による在宅勤務、この期間を利用したダイエット等、これまで経験したことない取組みを色々やってました。

今回はその中で中小企業診断士の活動らしい取組みを紹介したいなぁと考え、新会社で申請当事者として小規模持続化補助金<コロナ特別対応型>を申請してみたので、その体験談と各種注意点について書いてみたいと思います。

中小企業診断士は各種補助金の審査員になることもあります。また、経営部分を担う士業という性質上、経営計画を見るという機会は多いです。今回は経営計画を見る側ではなく、当事者として経営計画を実際に書いたことや商工会議所で実際に相談を受けてきたことで、見る側、書く側両面からのノウハウが蓄積できましたので、これから補助金申請しようと思っている方の参考にしていただければと思い記事を書きたいと思います。

なお、今回はコロナ特別対応型で申請しましたので、これを例とした記載になっていますが、毎年定例的に実施している小規模持続化補助金の提出資料を書く場合や資料を提出する場合も共通する事項が多いと思いますので参考にしてみてください。

当記事は2020/8/12現在の「小規模持続化補助金<コロナ特別対応型>」の公募要領や申請時の実体験の情報をもとにして、できるだけ平易にわかりやすく解説することを目的に記載しています。従って、正確な情報は公募要領等を参考にご自身で確かめてください。当情報により補助金不採択になっても当方は責任を負えませんのでご了承ください。

また、当たり前ですが、当方は小規模持続化補助金の審査員経験はなく、今回のコロナ特別対応型の審査員でもありません(そんなことしたら利益相反で一発アウトです!)ので、あくまでこれまで経験した知識をもとに記載している点にご留意ください。

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補助金とは何か?

まずは、補助金についてあまりご存知ない方もいらっしゃると思いますので、超基本的なところからいきます。

コロナ禍で色々な形で中小企業に対して財政支援がなされています。その中で代表的なものとして「助成金」「補助金」があります。ここで疑問として出るのが、

どちらも同じものか?という点です。

これらは、国や地方公共団体からお金を貰える(これも表現が正確ではないですが…)という点では共通していますが、厳密には違います。

最も大きな違いは、以下の点です。

補助金は審査が必要。助成金は一定の条件を満たせば支給される。

その他にも、主に補助金は経済産業省、助成金は厚生労働省という違いがありますが申請する側にとってはどうでもよいことでしょう。

とにかく、補助金は審査に通らなけばもらえません。まずはここを抑えましょう。

小規模持続化補助金<コロナ特別対応型>の目的とポイント

審査が必要だということは分かった。次は何をどのように審査するか、どのあたりがポイントになってくるか、という点について「小規模持続化補助金<コロナ特別対応型>」の実施目的を使って解説していきたいと思います。

以下は、小規模持続化補助金<コロナ特別対応型>の公募要領から抜粋した実施目的になります。

小規模事業者および一定要件を満たす特定非営利活動法人(以下「小規模事業者等」とい う。)が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、 賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、小規模事業者等が取り組む販路開拓等の取組の経費の一部を補助することにより、地域の雇用や産業を支える小規模事業者等の生産性 向上と持続的発展を図ることを目的とします。 本補助金事業は、持続的な経営に向けた経営計画に基づく、小規模事業者等の地道な販路開拓等の取組(例:新たな市場への参入に向けた売り方の工夫や新たな顧客層の獲得に向けた商品の改良・開発等)に要する経費の一部を補助するものです。 さらに、今回の公募にあたっては、新型コロナウイルス感染症が事業環境に与える影響を乗り越えるために前向きな投資を行いながら販路開拓等に取り組む事業者への重点的な支援を図ります。

小規模事業者持続化補助金<コロナ特別対応型>【公募要領】 より

色々書いてありますがポイントは3点です(赤字部分)。

小規模事業者であること

最初のポイントは、「小規模事業者および一定要件を満たす特定非営利活動法人(以下「小規模事業者等」とい う。) 」の部分です。

この条件を満たさないと補助金は支給されませんので注意してください。

商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) 常時使用する従業員の数5人以下
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 常時使用する従業員の数20人以下
製造業その他 常時使用する従業員の数20人以下

創業したてでも商業・サービス業で仲間内6人で事業を始めたとなると該当しない可能性があります。よく確かめてみてください。

上表の人数は、常時使用する従業員の数で判断することに注意が必要です。これには会社役員は含まれません(ただし、従業員との兼務役員は「常時使用する従業員」に含まれます。)。

例えば、「仲間6人で出資し合って設立した!でも最初は人手もいらないからそのうち2人だけで店を営業している。」なんて場合は補助金の支給対象になります。

また、一部対象とならない事業もあるので公募要領を確認しておきましょう(今回でいうと医師、歯科医師等は対象外です)。

経営計画に基づく地道な販路開拓等の取組み

次のポイントは、「本補助金事業は、持続的な経営に向けた経営計画に基づく、小規模事業者等の地道な販路開拓等の取組(例:新たな市場への参入に向けた売り方の工夫や新たな顧客層の獲得に向けた商品の改良・開発等)に要する経費の一部を補助」の部分です。

先ほど「補助金は審査が必要」と記載しましたが、具体的に審査するものが経営計画書になります。

補助金の審査は書面審査になります。従って、審査員と対面で会って話してアピールする場はありませんので、審査員相手に「私の会社はこんなことをやっていて、こんなことに取り組むからこれだけお金が必要なんだということ」が書類上だけわかるようにする必要があります。このあたりの具体的な書き方は次回解説します。

また、「小規模事業者等の地道な販路開拓等の取組み」が対象となると書いてありますが、今回のコロナ特別対応型では販路開拓等の取組みのうち、補助対象額の1/6以上が以下の3点に該当することが必要になります。

A:サプライチェーンの毀損への対応

B:非対面型ビジネスモデルへの転換 非対面・遠隔でサービス提供するためのビジネスモデルへ転換するための設備・ システム投資を行うこと

C:テレワーク環境の整備 従業員等がテレワークを実践できるような環境を整備すること ※補助対象期間内に、少なくとも1回以上、テレワークを実施する必要があります。

文字面だけではわかりにくいので、それぞれ以下のとおり例を挙げてみます。

サプライチェーンの毀損への対応

公募要領では「顧客への製品供給を継続するために必要な設備投資や製品開発を行うこと」と書いてあります。

例えば、新型コロナにより製品や部品の供給元が倒産してしまって自社製品を作れない!そのために自社で生産ラインを作りたい!といった場合はこちらに該当します。

非対面型ビジネスモデルへの転換

公募要領では「非対面・遠隔でサービス提供するためのビジネスモデルへ転換するための設備・ システム投資を行うこと」と書いてあります。

例えば、これまでは対面での営業活動で顧客開拓・製品販売を行っていたけど、社員の新型コロナへの感染も怖いし、お客様もあってくれない、だからインターネット上で製品を販売しよう!と思ったときの販売サイトの構築費用等がこちらに該当します。

テレワーク環境の整備

公募要領では「従業員等がテレワークを実践できるような環境を整備すること ※補助対象期間内に、少なくとも1回以上、テレワークを実施する必要があります。」と書いてあります。

例えば、今までは事務所出勤を義務付けていたから必要なかったけど、家でも仕事をしてもらえるようにクラウド上にデータを保存していつでも資料やデータを閲覧したい!といった際のクラウド構築費用や遠隔で会議したいからweb会議サービスシステムを構築したい!といった際の費用がこちらに該当します。

ただし、汎用的に使えるもの(パソコン、タブレット等)は補助対象外になるので注意しましょう。

新型コロナウイルス感染症の影響

最後のポイントは、「新型コロナウイルス感染症が事業環境に与える影響を乗り越えるために前向きな投資を行いながら販路開拓等に取り組む事業者への重点的な支援」の部分です。

これはコロナ特別対応型の補助金の採択審査する際の最重要ポイントになります。

申請書類として提出する経営計画書のフォーマットには「新型コロナウイルス感染症による影響(売上減少等の状況について記載ください)」の欄があります。

いつもの補助金審査では、今の事業内容・状況と今後補助金を使って何をしたいかが審査するうえで最大のポイントになりますが、この補助金は「コロナ特別対応型」です。

新型コロナによってどのくらい売り上げが落ちたかあるいはどのくらい事業環境に変化が生じたか、それを踏まえて補助金を使って何をしたいかが「コロナ特別対応型」の最大の採択ポイントといえるでしょう。これは私が勝手に言っているわけではなく、補助金申請時に商工会議所の相談員(中小企業診断士で恐らく補助金の審査員)から直に言われました。その方曰く、「例え新型コロナが経営上影響を出ていなかったとしても出ているように書くこと。書かないと審査員からはこの補助金は必要ないと思われる。」だそうです。

補助金申請までのステップ

補助金申請のポイントを押さえたところで次に補助金申請から提出書類提出までの作成ステップを確認します。手順は以下のとおりです。

  1. 補助金の公募要領を読む
  2. 申請書類を書く
  3. 商工会議所で相談員に相談する
  4. 相談結果を踏まえ資料を修正する
  5. 提出資料が揃っているか確認し提出する

簡単に解説していきます。

補助金の公募要領を読む

これは必ず読んでください

間違っても、今読んでいただいているブログや各種当補助金を解説をしているyoutube動画等だけで申請してはダメです。ブログ等で概要や申請するうえでのコツを学ぶことはできますが、提出するにあたっての正確な情報を得ることはできません。これはコンサルに頼んで補助金申請を手伝ってもらう場合でも同じです。

理由は、他人から得た2次情報では情報が古い場合があるからです。また、言い方は悪いですが補助金の申請・審査はお役所仕事なので、役所が指定した様式の書き方やルールに従わないといくら内容が良くても、その時点で落ちますので注意してください。

申請書類を書く

ここが一番時間がかかります。

特に時間がかかるのが経営計画の作成です。

注意としては、経営計画以外の書類はチャチャっと書けてしまいますが、簡単に書けるものこそ最初に書いてしまいましょう。経営計画を書くのに時間がかかりすぎて他の書類を準備するのを忘れてた!直前でもう間に合わない!なんてならないように注意します。

経営計画の詳しい書き方は次回解説したいと思います。

商工会議所で相談員に相談する

実は直近の申請ではこのステップが必須ではなくなりました。

これまでは商工会議所で30分程度相談し、相談員に相談したことを証明する書類を作成してもらい他の書類と一緒に提出が必要でした。この相談プロセスが直近の申請では不要になったということです。理由は不明ですが、できるだけ対面での接触機会を無くすためか、申請件数が多すぎて商工会議所の窓口がパンクしかけたかのどちらかでしょう。なんでもいいですが。

というわけで、相談不要ということは面倒であれば行かなくても良いのですが、個人的には行った方がよいかなと思います。理由は2点です。

理由1:経営計画の客観的な評価を聞けるから

商工会議所の相談員には、その場ではじめて経営計画書を見せることになります。また、相談員は実際に補助金の審査員となることが多いと思います。その方が5~10分程度書類に目を通し、目の前で書類に関するアドバイスをすることになります。

恐らく、実際の審査もこのくらいのスピードで書類に目を通し、全体を確かめたあと、気になった部分を再度見直すというプロセスになるでしょう。

ということは、商工会議所での相談である程度良い評価をいただければ、専門家のお墨付きをいただけたということになります。もし、この段階であまりできていないとの評価だとしても、こういった点を付け加えたほうが良いとか、ここはこの書き方ではまずいといった具体的なアドバイスをいただけるので行く価値があると思います(専門家によって当たりはずれはあるようですが…)。

もし相談員から経営計画書の評価を言ってもらえない場合は、「この内容で補助金申請は通るでしょうか?きちんと書けているでしょうか?」と直接聞いてみるのも手かもしれません。もちろん審査に通る通らないは言ってもらえませんが、大まかな評価は聞けると思います。

理由2:必要書類の過不足や様式記載の疑問点について確認できるから

事業者サイドとして補助金申請書を出すのははじめての経験でしたが、応募要領を見るだけではここはどうやって書くの?このチェックボックスにはチェックをつけるの?といった提出にあたっての細かい部分の判断ができませんでした。

相談当日は、こういったしょうもない疑問を事前にメモにまとめておき相談員に確認しましたが、どの質問にも明快に回答いただけました。意外と提出前に不安になる要素はこういったところですので、提出直前の不安を払しょくするために相談を活用してもいいかなと思います。

相談結果を踏まえ資料を修正する

商工会議所からの相談結果を踏まえ、経営計画書をブラッシュアップします。

ここでの注意点は、相談員からある程度お墨付きを貰えれば、大幅な修正をする必要はないということです。相談員からの意見は一つのアドバイスと捉え、要素として付け加えるといった対応で良いと思います。思い切って該当部分を大幅修正すると経営計画書全体のバランスが崩れよくわからない内容になってしまうことがあるので注意しましょう。

経営計画全体を見た時に記載に矛盾が生じているとアウトになる確率が高まります。

提出資料が揃っているか確認し提出する

最後に、再度応募要領を読み提出資料に不足がないかを確認します。

繰り返しになりますが、提出資料が揃っていなかったらその時点でアウトです。審査すらしてもらえません。

特に注意は電子媒体の用意です。紙での提出だけでないことに注意しましょう。商工会議所で聞いた情報では、実際の審査は書面では行わず電子審査のみとのことでした。従って、電子媒体にデータが入っていないとその時点でアウトです。

余談ですが、電子データはUSBメモリがCD-Rでの提出になりますが、提出期限ギリギリでCD-Rが無い!となった際はコンビニでは取扱っていないこと多いので注意です。事前に電気屋等で用意しておくようにしましょう。

コロナ特別対応型の提出までのスケジュールイメージ

ここまでのプロセスをスケジュールに落とすと以下のイメージになります。

申請しようと思った日から資料提出まで約1か月の見ておけば十分かと思います。

なお、このスケジュールイメージは一人が申請書類を作成し、会社の同僚数名に確認してもらう場合を想定したものですので、一人だけで作成・提出する場合はもっと期間を短縮できるでしょう。

まとめ

今回は小規模事業者持続化補助金<コロナ特別対応型>の概要と作成プロセスを中心に紹介しました。

作成開始から提出まで1か月程度を要しますが、この間の1日あたりの作業時間を平均すると1時間も必要ないと思います。これで最大100万円補助してもらえるのは大きいです。補助金で100万円得るのは、売上を100万円増加させることや費用を100万円減少させるのと同じ効果になりますし。

というわけで、事業者としてコロナ禍の新生活様式に対応する新しい取組みを考えているといった方は時間対効果が高いので是非取り組むことをおススメします。また、ご自分で経営計画を書いてみると事業の弱点や今後取組むことのヌケモレ等のチェックもできますよ。

今回はここまでです。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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