1次試験の基本的な勉強法は、「スピードテキスト(TAC)を一通り読む」⇒「スピード問題集(TAC)を3周解く」⇒「 過去問完全マスター(同友館)ひたすら周回する」 とご紹介しました。
とはいえ、科目ごとの取り組み方はやや異なるので、ここからは科目別の勉強法をご紹介したいと思います。第2回目は「財務・会計」です。
この科目はone stepが最も得意とする科目であり、1次試験で最も得点が高かった科目なので、是非勉強法を参考にしてください。
財務・会計は最重要科目
勉強法に入る前にちょっと前置きです。
「財務・会計」は中小企業診断士試験における最重要科目です。誰が何と言おうとこの科目が一番重要です。…誰も何とも言わないと思いますが。
理由は2点です。
理由1:1次試験の勉強が2次試験に直結する科目であるため
理由2:きちんと勉強すれば(ほぼ)確実に得点源にできるため
理由1:1次試験の勉強が2次試験に直結する科目であるため
財務・会計は1次試験と2次試験で最も内容が近い科目です。
中小企業診断士において、1次試験と2次試験の科目間の関係性を表すと以下のとおりになります。
1次試験 | 2次試験 |
企業経営理論 | 事例Ⅰ、事例Ⅱ |
運営管理 | 事例Ⅲ |
財務・会計 | 事例Ⅳ |
財務・会計の他にも2次試験と関係する科目としては、企業経営理論と運営管理がありますが、この2科目は1次試験と2次試験で勉強方法がまるで異なります。
誤解を恐れずに言えば、この2科目の1次試験は知識の暗記が試される試験ですが、2次試験は最低限の1次試験の知識を前提とした「国語」の試験です(2次試験受験時点では、1次試験時の知識を半分以上忘れていてもなんとかなります)。
一方、財務・会計は1次試験の勉強が2次試験の事例Ⅳを解くうえでの土台になり、1次試験の時点で理屈や解き方を理解できていないと事例Ⅳは歯が立たない状態からのスタートになります。
また、2次試験では1次試験の知識で十分に回答できる設問も多くあり、勉強した成果が中小企業診断士試験の勉強中にずっと役に立ちます。
理由2:きちんと勉強すれば確実に得点源にできるため
この科目の良いところは、大半の問題で、解いた瞬間に正解・不正解を自分で判断可能なことです。
基本的に計算問題が多く、事前に解き方のパターンを理解して、パターンに対して自動的に手が動く状態までアウトプット練習ができていれば得点源とすることができます。
逆にいうと、テキストを読んだだけでわかったつもりで試験に挑むと痛い目に遭います。財務・会計は運動と同じで計算問題を解く過程を徹底的に体に覚えこませる訓練が重要になります。
中小企業診断士試験が終わった後で、いろいろな診断士の方と接して気が付くのですが、この業界「税理士」「公認会計士」といった会計専門の士業や「銀行関係」の会社員が多いです。当たり前ですが、彼らは「財務・会計」が本業です。
この科目が苦手だと、彼らに対して大きなハンデを背負っての受験になってしまいますので、是非得意科目にして得点を荒稼ぎしましょう。
勉強期間
財務・会計は、理解科目です。また、前記のとおり中小企業診断士試験の最重要科目であり2次試験にも直結する科目なので、初学者だろうが既学習であろうが一番勉強すべき科目です。
なお、one stepは勉強開始時点で簿記2級まで取得していましたが、合格したのは10年前でありほぼ初学者としての勉強スタートでした。とはいえ、最低限の仕訳程度はできたので、ややアドバンテージがあったかもしれません。簿記3級程度の知識はあるといいかもしれません。
使ったテキスト
財務・会計はTACのテキストが秀逸です。しかし、後で詳細は書きますがこのうちスピ問は購入不要です。それ以外のTACの2冊を完璧にすると1次試験は敵なし状態で迎えられます。
one stepの勉強経過
まずは1週間で全体を把握する【12月3周目】
まずはスピードテキストを読んで全体を把握しました。
経済学・経営政策と同様に最初は非常にきついです。簿記2級まで勉強したことがあっても初めて聞く単語がほとんどで全く意味がわかりません。というのも、簿記(2級レベルまで)と関係するのは後半の一部だけで、大半は会計学の分野からの出題だからです。
タックスシールド??WACC??何それって感じです。
最初はこの状態でもいいので、一度通しで読んで、まずはどんなことを勉強しなければいけないのか大枠を把握することでよいと思います。
スピ問に挑戦するも…【~12月末】
スピテキを一通り読んだところでスピ問に挑戦しました。経済学・経営政策ではスピ問で論点確認ができたので期待して勉強を始めたのですが、結果として時間を無駄にしました。
スピテキで不明点を確認しながら1周したのですが、どうも簡単すぎる。そして問題数も少なすぎる。スピテキの内容をトレースするレベルにも至ってないような気がします。
どう考えても1次試験には出ないレベルの問題が掲載されているといった感じで、内容に不安を感じます。この後紹介する集中特訓 財務・会計 計算問題集の出来がいいので、おそらくTACの中で内容の差別化を図っていると思われますが、それにしてもこれはどうか?という出来です。
折角購入したので1周はしましたが、これ以降スピ問を使用することはありませんでした。
財務・会計攻略に必須の計算問題集で完璧に!【1月末】
スピ問にあまりの不安を覚えたので、急遽、集中特訓財務・会計計算問題集(TAC)を購入しました。結果的にこの問題集との出会いが、財務・会計を大得意科目にしてくれました。ちなみに2次試験の勉強でも使うので買っておいて損はないです。
1月末までに3周しました。
おそらく3周目を終えた時点で1次試験の財務会計は合格圏(60点)に届いていたと思います。それくらい質が高い問題集です。
なお、計算問題集と書いているものの、ところどころに文章題も入っていて一次試験全体を網羅することができます。 問題集の一番後ろに2次試験の事例Ⅳの問題が数問ありますが、1次試験の勉強期間中は無視してOKです。具体的な使い方は後ほど勉強のコツで詳しく解説したいと思います。
経済学・経営政策と同様に、この時期(1月中)には過去問完全マスター(同友館)は発売されていませんので、集中特訓 財務・会計 計算問題集(TAC)を3周した時点で次の科目へ進みました。
ここまでで財務・会計の基本勉強は終わりです。
計算問題集を使って復習する【4月(復習期間)】
復習期間では、集中特訓 財務・会計 計算問題集(TAC)と過去問完全マスター(同友館)を使いました。
まずは集中特訓 財務・会計 計算問題集(TAC)を1周しました。1月末までの時点でしっかり勉強していたので、恐らく8割~9割解けていたと思います。ここが他の科目と「財務・会計」の最大の違いで一度理解すると忘れにくいです。
私は、このあと集中特訓 財務・会計 計算問題集(TAC)を完璧にするためにもう一周しましたが、この過程は時間があればやればよいと思いますので省略OKです。
ここまで終えて初めて過去問に挑戦しました。
集中特訓 財務・会計 計算問題集(TAC)を完璧にして過去問に取組むと超簡単に感じます。 なお、一次試験本番を意識しますので電卓を用いずに解いていきました。
過去問は1周目の時点で8割は正解できていました。わからない論点はスピテキを使って確認はしていましたが、ほとんどわからない問題はない状態だったと思います。
このあと、本当に念のためですが、過去問完全マスター(同友館)を仕上げのため、もう1周しました。この時点で過去問は9割以上できていました。
総仕上げ。ここまでやらなくて良かったかも【H29年7月~テストまで】
総仕上げとして、集中特訓 財務・会計 計算問題集(TAC)を1周、④過去問完全マスター(同友館)を2周しました。
私は心配性なのでここまでやりましたが、正直時間の無駄でした。4月の復習期間までにある程度仕上がっていたので、計算問題集を1周か過去問を1周で十分でした。この時間を他の科目に回しておけばよかったです。
なお、両方の問題集ともに間違った問題はない状態(あっても1、2問程度)でした。
試験結果
結果「88点」。
全科目中最高得点でした。試験後の手ごたえも「これは大丈夫だな、もしかしたら満点??」という感じでした。結果的に3問間違ったのですが、そのうちアホな計算ミスが2問あったので、96点は取れたのではという感じでした。
試験時間も15分程度余ったのを覚えています。
財務・会計の勉強のコツ
1次試験の財務・会計を攻略するための最大のポイントは、集中特訓 財務・会計 計算問題集(TAC)を完璧にすることです。従って、勉強のコツもこの問題集を如何に効率良く、うまく使うかに尽きます。
使うポイントは以下の2点です。
ポイント1:必ずノートとペンを用意し、手を動かしながら解く
ポイント2:問題を解くときは電卓を使う
ポイント1:必ずノートとペンを用意し、手を動かしながら解く
前段で財務・会計は運動と同じと書きました。
体に染み込ませる…そのためにも問題を解くときは必ずノートとペンを用意して、手を動かしましょう。
ここで手を動かすというのは、まとめノートを作るということではありません。問題を解いて計算過程を手を動かして頭に理解させさえすれば、どんなに汚い字であろうが最悪自分が読めない字であろうがOKです。問題を見た瞬間に解き方が思い浮かぶ!この状態を目指します。
ちなみにまとめノートは時間の無駄なのでやめましょう。そもそも、まとめノートを作るということはスピテキを複製しているのと変わりないですし、思考停止して勉強しているつもりになっていることが多いので究極の時間の無駄です。それをするならスマホでゲームをしていた方がましです。
ポイント2: 問題を解くときは電卓を使う
中小企業診断士試験1次試験では電卓持ち込み不可です。
となると、問題演習も電卓を用いない方がよいのではないか?ということになりますが、TACの計算問題集を解くときには短時間で多くの問題を解くために電卓を使い問題集をどんどん前に進める意識で取組むことが重要です。
小学校卒業レベルのひっ算ができれば、財務・会計の本番の問題を電卓なしで解くのは問題ないですが、TACの計算問題集は本番よりも計算ややこしいため、電卓を使わないと1問に要する時間が長くなってしまい勉強が非効率になります。
電卓を使わずに解くのは過去問演習からでOKです。
まとめ
1次試験の財務・会計は、集中特訓 財務・会計 計算問題集(TAC)さえ完璧にすれば高得点が狙えます。しかも、財務・会計は2次試験にも直結するのでここで知識を蓄えておくとこの後の受験勉強も楽になります。
中小企業診断士試験についていろいろと調べていると、財務会計が苦手という方が結構多いのですが、一度以下の質問を自分自身に問いかけてみてください。
最初は問題を見てすぐ答えを見ても大丈夫です。問題を解いているうちに理屈がわかってくるので、是非TACの問題集1冊を購入し、何回も何回も手を動かして解いてみてください。ちなみに私は、1次試験の勉強で計算問題集を6周しました。
きちんと勉強すれば年度によって難易度の高低が生じにくく、得点源にしやすい科目です。是非手を動かして、問題を見た瞬間に解き方がわかるレベルまで仕上げてみてください。
今回はここまでです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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