【中小企業診断士の独学勉強法】一次試験編③(「経済学・経済政策」)

診断士一次試験

1次試験の基本的な勉強法は、「スピードテキスト(TAC)を一通り読む」⇒「スピード問題集(TAC)を3周解く」⇒「 過去問完全マスター(同友館)ひたすら周回する」 とご紹介しました。

とはいえ、科目ごとの取り組み方はやや異なるので、ここからは科目別の勉強法をご紹介したいと思います。第一回目は「経済学・経済政策」です。

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勉強期間

 
  • 基本勉強: H28年11月~12月中旬(約1.5か月)
  • 復習①: H29年4月(復習期間)
  • 復習②: H29年7月~テストまで(復習期間)

経済学・経営政策は中小企業診断士1次試験における主要科目ではないですが、この科目の勉強期間は財務・会計と並ぶほど長いです。主要科目以外では唯一理解して学習する科目(⇔暗記科目)です。

中小企業診断士試験を始める前までに経済学を本格的に勉強したことが無い人は覚悟しておいた方がよいです。結構キツイです。コア科目である企業経営理論や運営管理よりもキツイと思います。

逆にこれまで他の資格試験や学生時代に経済学を勉強したことがある人は、覚えることも少なくかなり有利な科目といえると思います。

また、この試験を受ける方の大半は文系出身と思いますが、やや数学的要素も含まれることから経済学部以外の文系出身の方は恐らく1次試験7科目のうち最も挫折しやすい科目ではないかと思います。

私(文系ではないですが)も経済学初学者であり、勉強のコツを掴むまでに途中何度も挫折しかけましたが、これから紹介するテキストや問題集を使って勉強すれば必ず合格圏(60点)に届くので頑張っていきましょう!

使ったテキスト

使うテキスト、問題集は以下の5冊です。これ以外は不要です。経済学は一大学問なので、大学の講義で使われるテキストも色々ありますが、あくまで1次試験に受かるという目的を果たすためにはこれらだけで十分です。

 
  • スピードテキスト(TAC) 通称「スピテキ」
  • スピード問題集(TAC) 通称「スピ問」
  • 速習!マクロ経済学(中央経済社)
  • 速習!ミクロ経済学(中央経済社)
  • 過去問完全マスター(同友館)

one stepの勉強経過

勉強法は、私の勉強経過を説明したのちコツを紹介していきたいと思います。

勉強開始!スピテキを頭から読み始めるが…【11月1週目】

この科目はスタートから大きく躓きました。

記念すべき受験勉強開始後1発目!よっしゃ、スピテキを最初のページから読んで理解するぞ!と意気込むも。。が!さっぱりわからん。書いてあることが抽象的過ぎてよくわからん。。

ある程度勉強が進んだ段階でスピテキを読むと中小企業診断士試験に出る要点だけがまとまっているいいテキストだなぁと思うのですが、こと経済学をこれまで勉強したことがない方にとっては不親切な部分が多いです。

当時、経済学の基礎知識がない状態でしたので「説明すくねぇよ!」とテキストを投げつけたくなったのを覚えています。頑張って一周通しで読みその後「スピ問」も数問解きましたが、全く理解できておらず、ダメこりゃ(古い)だとなりました。

(補足)復習時期には使うので買うべきテキストだと思います。また、中小企業診断士試験の受験勉強を開始する前までに経済学を勉強したことがある方はテキストはこれだけでOKです。

諦めかけたその時神テキストに出会う【~11月末】

あまりにもわからず…早速受験をあきらめようかと思いましたが、そこは耐えました。

藁にもすがる思いでネット検索すると、「経済学は石川秀樹さんの本がわかりやすいよ♫」との情報を複数発見したので、この情報を基に、通称石川テキストと呼ばれる、速習!マクロ経済学(中央経済社)と速習!ミクロ経済学(中央経済社)を購入しました。

これが大きな転機になりました!

このテキストは、中小企業診断士試験にはややオーバースペック(不要な論点も多い)ですが、非常に解説がわかりやすいです。経済学は数式で説明しながら理論を紐解くことができるのですが、それだと数学がわかっていないと苦しいので、作者である石川秀樹さんは数式のかわりにグラフを使いながら説明してくれています。

グラフを使いながら説明するテキストは他にもありますが、石川テキストは初歩的なところから丁寧に解説してくれているので初学者が途中で道に迷うことがありません。ただ愚直に頭から読んでいけばついていけます。

このテキストの使い方は、ペンを片手にテキストの順番にノートにグラフを書きながら勉強を進めましょう。読んだだけだと分かったつもりになるので、必ず手を動かすようにします。

私は11月末までに2周ほど回しました。特にミクロ経済学のIS/LM分析、AD/AS分析、マクロ経済学の国際収支は何度も自分でグラフを書いて理解に努めました。テキストには中小企業診断士試験の頻出箇所を明確化してくれていますのでその部分だけの学習で大丈夫です。

スピ問再挑戦!【~12月中旬】

ここまでで経済学の理論学習を終えていますので、今度は問題にチャレンジです。当初挫折したスピ問に再挑戦しました。

解き方はシンプルです。

「一問解く」→「答えを見て理解」→「次の問題」といったサイクルで解いていきます。

石川テキストを勉強して理解した!と思っていても問題を解いてみると意外と解けないです。ですので問題を前に一旦は考えてみるもわからなければすぐに答えをみて良いです。

とにかく問題集を回転させることに重点を置きます。私はこの期間でスピ問を3周しました。最初にやった時と理解の度合いは雲泥の差でした。石川秀樹さん様様です。

スピ問を回すにあたり不明な点がでてきた場合は、適宜石川テキストで確認していきます。 おそらくスピ問3周目では間違える問題はほとんどなくなるはずです。

ここまでで経済学・経営政策の基本勉強は終わりです。次の科目に行きましょう!

なお、この時点では過去問への取組みは不要です。

久しぶりの経済学【4月(復習期間)】

スピ問を使って効率よく記憶を呼び戻す

久しぶりの経済学です。基本勉強をしてからだいぶ期間が空き、他の科目の勉強に集中した期間があるので、ある程度は忘れていても問題ないです。

ここで短時間で記憶を呼び起こすためにスピ問を使いました

石川テキスト読み直しでも良かったのですが、再度分厚い本を2冊こなすのは効率が悪いと思い止めました。基本勉強期間中にスピ問を3周しているので、時々テキストを確認しつつ解いていけばスピ問は難なく解けると思います。

このときに不明点を参照するテキストはスピードテキストが最適です。勉強を始めた時にあれほどわからなったテキストがわかるようになっていました。不思議です。

この期間は電車でもスピテキを読んでいました。他の科目と比べると薄めで、理解さえしていればグラフの内容等の確認をサクッとできるのでスキマ時間の活用にはおススメです。

いよいよ過去問に挑戦!

スピ問を1周し記憶を呼び戻した段階ではじめて過去問に取組みました。

過去問は、中小企業診断士1次試験における最強問題集「過去問完全マスター(同友館)」を使いました。まだ試験には時間がありますが、この時期に3周し一気に合格圏までもっていきました。

12月時点でスピ問を解いた後過去問までやってもよかったのですが、この時期は最新年度版が発売されていませんでしたので、ここで初めて過去問を解きました。

経済学の過去問完全マスターは他の科目に比べて薄く(それでも500ページ超はありますが…)、一つ一つの問題がライトなものも多いので結構早く終わると思います。

スピ問を解いていれば主要論点については1周目でもそこそこ解けると思いますので、3周解くとほぼ間違えないようになると思います。

総仕上げ。使ったテキストは完璧に!【H29年7月~テストまで】

この時期は試験直前の総仕上げになります。

総仕上げには過去問完全マスターを2周しました。ところどころ忘れていたので、わからない部分はスピテキで確認するようにしました。

この時期は他の科目と並行しての復習期間になるので経済学にあまり時間はかけられません。できるだけ本番に近い問題である過去問(当たり前!)を解くことで本番モードにします。

過去問完全マスターの2周目で何も見ずに95%以上はできていれば、本番で60点以上取れる状態になっていると思います。

試験結果

で、ここまでの勉強の成果はどうだったかというと…

結果「64点」。

試験が終わった瞬間は8割くらい取れたんじゃね?!という感触でしたが、そんなに甘くはなかったみたいです。

まぁ、なんとも微妙な点数ですが6割越えは果たしました。勉強開始当初の何から手をつけていいかわからない状態から考えると十分すぎる結果かなぁとは思っています。

経済学・経営政策は中小企業診断士1次試験の記念すべき最初の受験科目(1日目の朝一!)であるため緊張する科目になります。また、数年に一度は得点調整が入るほど難しくなる科目です。従って、試験前から万一7科目合計で合格点を満たせず二次試験に進めなかったらもう一回勉強したくない!と思っていた筆頭科目でしたので、この結果には一定満足できました。

経済学・経営政策の勉強のコツ

経済学初学者にとって私の勉強経過をトレースすると無駄な部分が生じてしまうと思いますので以下の勉強のコツを参考に取り組んでいただければと思います。

経済学・経営政策勉強のコツ
  • 経済学初学者は最初に石川テキストから始める
  • 経済学はスピ問は有効。過去問の前にスピ問で頻出論点を網羅する
  • スピテキは復習期間のスキマ時間を活用して読む
  • 一般常識の分野は過去問レベルの対策に留める

経済学初学者は最初に石川テキストから始める

この科目を攻略するうえで一番重要なポイントになります。

私のようにスピテキから始めないようにしてください!

経済学どころか中小企業診断士試験、ひいてはTACまで嫌いになる可能性あります。また、個人的に、経済学は最初にわからない!となると最後まで苦手意識を払拭し難い科目だと思います。

従って、早い段階で分かりやすいテキストに出会い、科目に対する苦手意識をなくすことが重要になります。

しつこいくらいに薦めて恐縮ですが、 紹介した石川テキストは経済学に苦手意識を持つ人を得意になったんじゃないか??と思わせてくれるテキストです。もう一度リンクを貼っておきます(別に中央経済社からお金をもらっているわけではないです)。

おそらく勉強していて苦手だなぁと思っていると、挫折までいかないとしてもテキストや過去問の丸暗記に走りがちになります。暗記3兄弟(経営情報システム・経営法務・中小企業経営政策)であればそれでもいけますが、経済学・経営政策は理解科目なので少し捻られると手も足もでなくなります(これが数年に一度得点調整される要因なのでは?と思います)。

石川テキストで最初に丁寧に学んでおくと暗記でなく、理解が促されるので忘れにくいですし、根本部分を理解できるようになるので得点も安定すると思います。

経済学はスピ問は有効。過去問の前にスピ問で頻出論点を網羅する

ネットには中小企業診断士1次試験にはTACから販売されているスピード問題集は不要との記載も散見されますが、この科目については非常に有効だと思います。基礎的な部分、頻出論点が網羅されているので、初期の理解醸成におススメです。

はじめから過去問にいってしまうと、過去問は受験生同士の差をつけるために微妙な言い回しやマニアックな論点を突いてくることが多いので、本質的な理解が進まない可能性があります。

スピテキは復習期間のスキマ時間を活用して読む

経済学の基礎テキストは石川テキストです。

従って、他の科目に比べてスピードテキスト(通称スピテキ)の必要性は劣後します。最悪買わなくても良いですが、復習期間に入ると石川テキストを読んでいる暇はないので、その時に中小企業診断士試験の論点に特化したテキストであるスピテキでの確認が最適になります。

スピテキは中小企業診断士試験に必要な部分しか書いていないという点で初学者にはわかりにくいのですが、石川テキストやスピ問で主要論点を勉強した後で読むと、逆にスッキリして読みやすい感覚になると思います。

とはいえ時間が無い社会人受験生にとって、スピテキを机に座ってテキストを読む時間はもったいないので、電車やソファでくつろいでいる時間等のスキマ時間を利用して読むのがおススメです。

一般常識の分野は過去問レベルの対策に留める

経済学・経営政策には日本経済・金融にかかる一般常識の分野からも出題されます。全部で20点分程度の配点はあると思われますがこの一般常識分野の対策は不要です。

対策が不要な理由はただ一点、範囲が特定できず(広すぎて)非効率だからです。

一般常識分野の対策はあくまで過去問レベルに留め、数問は勘勝負にしましょう。全部で20点分程度は一般常識ということは裏を返すと残りの8割は伝統的な論点からの出題です。あくまで8割部分の対策に全力を注ぐ戦略で良いと思います。

まとめ

経済学・経営政策は、初学者にとっては難しい科目です。

しかし、この科目を乗り越えないと中小企業診断士試験の合格はできません。しかも、前記のとおり、一般常識の分野もあることから8割9割の得点を稼ぐことは難しい科目です。

しかし、伝統的な論点を漏れなく抑えることで合格ラインの6割には到達することができます。是非、伝統的な論点は暗記ではなく理解することを目指して取り組むことを目指してください。

最後に、経済学・経営政策は一旦理解すると忘れにくい科目ですので、是非1番最初の科目として取り組むことをお勧めします。

今回はここまでです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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