【中小企業診断士独学勉強法】実務補習の疑問いろいろ~5日間でやること①~

診断士実務補習

今回は、実務補習5日間のざっくりとした流れと1日目と2日目で行う具体的な実務補習内容について書いていきたいと思います(3日目以降の詳細は次回以降書きます)。

なお、私は2、3月の15日間コースしか経験がありませんので、7、8、9月に5日間コース単発で受講する方は少し流れが違うかもしれませんがご了承ください(そんなに変わらないとは思いますが)。

また、以下で記載する進め方は、どの班でも共通的に行う実務補習でないかもしれませんが、実務補習15日間計3社の企業分析を行って、一番良いであろう方法を私見を交えて紹介していると認識してもらえればと思います。

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  1. 5日間の大まかな流れ
  2. 1日目(土)から盛りだくさん
    1. 初日はオリエンテーションの時間もあり大忙し
    2. 班のメンバー、1社目の実務補習先は事前にメールで知らされる
    3. 自己紹介は早々に役割分担を決める。
      1. おススメの役割はリーダー兼経営戦略担当
      2. 初回の財務担当は金融機関勤務者がいい気がする
      3. 自分の役割外にも積極的に介入する
    4. 役割分担を終えたら早速企業ヒアリングへ
      1. 事前にすべての役割の質問を想定しておくとよい
      2. ヒアリングでは質問を途切れさせない
      3. 議事録係を決めてもいいがみんなで議事録を取ることがおススメ
      4. 1日目終了。でもここで終えて(寝て)はいけない
  3. 2日目(土)超重要日
    1. 【事実確認】まずはヒアリング結果の確認から
      1. カテゴリ分けして整理しておく
      2. 聞き逃したこと、追加で聞きたいこともまとめておく
    2. 【事実確認】財務分析をここまでにしておくと尚良し
    3. 【企業分析】企業を取り巻く環境を分析する
      1. PESTのフレームワーク
      2. PEST分析はほどほどに
    4. 【企業分析】3C分析、SWOT分析
      1. 3C分析でターゲット、競合のイメージを膨らませる
      2. SWOT分析をなめるな
    5. 【ゴール設定】提案した先に目指す目標はどこか
    6. 【基本戦略】誰に、何を、どのように
    7. 【課題設定】戦略に沿って現状とゴールを埋めるためにやること
    8. ここまでで16:30くらいだと2日目としては100点満点
    9. 2日目は作業ではなくて議論の場にする
  4. まとめ

5日間の大まかな流れ

まずはざっくりと、5日間でやることは以下のとおりになります。相手先企業の事情によっては2日目にヒアリングが来たり、報告会が5日目の夜に来たりするので、あくまでモデルケースとして捉えてください。

実務補習を受講すれば一度は目にすることになる中小企業診断協会の実務補習テキストに記載する流れとも若干異なりますが、受講生目線でみたときに取組む流れは以下と考えてよいと思います。

初日は企業ヒアリングで約半日、5日目は午前中から企業への報告会になりますので、実務補習メンバーで顔を突き合わせて話せるのは実質3日半になります。作業内容はざっくりと書きましたが、これでもちょっとゆっくりしすぎかなぁと感じです。実際はもう少し巻きで行きました。

ここからは、15日間コースの5日間を例にそれぞれの日の詳細を書いていきたいと思います。

1日目(土)から盛りだくさん

1日目はみんなで顔合わせして、コーヒーでも飲んでゆっくり…なんて暇はありません。

初日はオリエンテーションの時間もあり大忙し

15日間コースの初日は、朝9時からオリエンテーション開始になります。私が受けた時(平成31年2月)は赤坂のTKPに集合でした。TKPには朝早く行っても会場に入れないので15~20分前まで行けば十分です。また、実務補習生の95%以上はスーツです。班ごとに指導員から事前に指定がなければスーツで行くのが無難です。

初日は、オリエンテーションということでお偉いさんの挨拶に始まり、実務補習における心得等について計1時間~1時間半程度レクチャーを受けることになります。この時点で10時半くらいになってます。

このレクチャーは眠いです。。特段解説することもありません。

その後、班ごとに集まり自己紹介となります。

なお、東京会場である赤坂TKPには200~300名程度(もっとかも)が、大会議室満杯に押し込められていますので、オリエンテーション後に「班ごとに固まって~」と言われるまでは自分の班のメンバーがだれなのかはさっぱりわからない状態です。

班のメンバー、1社目の実務補習先は事前にメールで知らされる

実務補習を同じ班で過ごすメンバーは誰になるか、1社目はどの会社に行くか等の情報は、実務補習開始日の一週間前程度(班ごとに差はあるらしい)に指導員からのメールで知らされます。

指導員からのメールの後、実務補習生同士でweb上で自己紹介をし合うことになりますがリアルで会うのはオリエンテーション後が初になります。

なお、指導員からは1社目にどの会社に行くかの情報とともに、その会社の決算書や事業概要書等の必要書類も送られてきますので事前に一通り目を通しておきましょう。目を通す際にはその会社だけでなく業界のこともwebで調べておくと良いです。

業界の調べ方はweb検索以外だと業種別審査時点が良いです。これは図書館に行かないとないですが、市場規模やその業種で主に扱う製品等を解説しているので事前勉強には最適です。

自己紹介は早々に役割分担を決める。

話を戻します。

自己紹介は静かな場所でじっくりと…というわけではなく、大会議室で机を2つくらいくっつけて、総勢20班くらいが隣り合わせで行うことになります。

極めてガヤガヤしている状況ですので、自分の班のメンバーの声があまりよく聞き取れません。そんな状態なのでとりあえず名前くらいをお互いに言い合って名刺交換をして早々に終了という感じです。

自己紹介を終えたら、指導員から役割分担を決めるように言われます。

役割は、①リーダー兼経営戦略担当、②財務担当、③組織・人事担当、④マーケ担当、⑤情報担当、⑥生産管理担当から、それぞれ1人1つないし2つ担当することになります(この辺は班の人数との兼ね合いです)。

これらの中でどれが重要な役割かをあえて挙げるとすると①リーダー兼経営戦略担当と②財務担当になります。

前者は、企業ヒアリング・企業への報告会・メンバー間の会議と全体を取り仕切るファシリテーターとして、実務補習成功のカギを握る船頭役になります。後者は、企業分析をするうえで資金繰り、借入の多寡等の分析はその会社のやること・やりたいことの選択肢を幅を検討するうえで非常に重要な役回りになります。

その他の役割も重要ではあるのですが、議論の一つの話題として出てくるものなので①リーダー兼経営戦略担当と②財務担当に比べると重要度は下がるかなぁと思います。

ちなみに、役割は1社ごとに交代していくことになります。1社目でリーダーになったからといってずっとリーダーではないので安心?してください。

おススメの役割はリーダー兼経営戦略担当

個人的におススメする役割は①リーダー兼経営戦略担当になります。特に15日間コースの初回の場合、積極的に立候補しましょう。というのも、実務補習メンバーは中小企業診断士としては素人であるものの、いざ企業に戻ると重役の人や弁護士や税理士といったプロ士業がゴロゴロいますので、そのメンバーを取り仕切る機会なんてなかなかないからです。

また、①リーダー兼経営戦略担当は、責任感とどう進めなければいけないかを班全体の進捗を見ながら適切に判断していかなくてはならないので、他の役割と比べて経験値を多く稼ぐことができます。

加えて、初回ならではの特典としては、初回は全員どうすればいいかわからない状態なので自分で失敗した!と思っても誰も気づかないので、恥をかく心配もないです。実務補習期間中のめぐり合わせによっては、計3社の中で1度もリーダーをやれないまま終わる可能性もありますので、是非みんなが遠慮している1回目に立候補してしまいましょう。

初回の財務担当は金融機関勤務者がいい気がする

財務に関しては、初回の担当は金融機関(特に銀行)出身者or勤務者、税理士・会計士の方がいいと思います。私の班でも初回は銀行勤務の方に担当していただきましたが、資金繰りの確認方法や債務の状況等を把握する術等、色々勉強になりました。おそらく、4~7人程度集まると銀行関係の方は1人はいると思いますのでお願いしてもいいかもしれません。

2社目以降は、1社目をお手本として進めていくことが多いので、最初にレベルが高い財務分析ができると、以降は例え自分が財務担当にならなくても、それを前提にどんどん高い分析に触れられるようになります。実務補習時点でタダで本職の方から学んでおくことはとても有意義ですし、お得です。

自分の役割外にも積極的に介入する

役割については、自分の役割外の分野にも積極的に介入していくのがいいと思います。介入といっても邪魔するのではなく、こんな資料があったので参考にどうですか?とか、こういった面からみるとどうですか、手伝いますよ!といった建設的な介入をすると自分のスキルも上がっていく気がします。また、15日間コースの場合、一度担当した役割を2回行うことはないため、次に自分がその役割を担当することになったときのための事前勉強になりますので、このような姿勢で取り組むことをおススメします。

役割分担を終えたら早速企業ヒアリングへ

これは、指導員や実務補習先の都合によって多少差異がありますが、初回の場合は午後一から1件目の企業ヒアリングを実施することが多いです。

時間的に班のメンバーと企業ヒアリングで何を聞くかといった打ち合わせをしている余裕はないので、事前に指導員から送られてきた資料を各自確認しておき、でたとこ勝負でヒアリングすることになります。

事前にすべての役割の質問を想定しておくとよい

初回の場合、自分がどの役割を担当するかは読めないですが、どの役割になってもいいように幅広に想定質問を考えておきます。ヒアリングはこちらの想定どおりに進まないことがほとんどですが、事前に実務補習先へ向かう電車の中などでやりとりの流れ等をメンバー全員でシミュレーションをしておくと良いと思います。

私たちの班は、初回が小売業者ということもありましたが、何も打ち合わせをせずともメンバー全員が事前に実際の店舗を見学していたため、聞きたいことが各メンバー具体的であり、移動中の短時間でしたが非常にスムーズにシミュレーション作業を行うことができました。このように、実務補習先がB to Cの商売をやっていて、実店舗を持っている場合は事前見学しておくのもおススメです。

ヒアリングでは質問を途切れさせない

ヒアリングは相手先の都合によりますが、概ね2時間程度と想定しておくといいと思います。また、多く場合ヒアリング相手は企業の経営者になります。ヒアリング中は経営者の思いの強い部分に話がいきがちになりますが、各役割の質問をまんべんなく聞くようにしましょう。

すべての役割の部分をヒアリングで網羅しておかないと、聞けていない部分の担当は具体的なことが全く書けないということも想定されます。もし、すべての役割について聞けていないなぁと感じた場合にヒアリングをリードし、軌道修正するのがリーダーの重要な役割となります。指導員は最初の挨拶以降は基本的にヒアリングに介入してこないと思っていた方がよいです。

また、ヒアリングでは質問を途切れさせないようにします。中小企業診断士試験の合格者でこのような方はいないと思いますが、たまに「聞くことがない」という方や「ほかのメンバーが聞いてくれるから自分は質問しなくていいや」という方がいらっしゃいますが、そのマインドで実務補習に臨むとほぼ間違いなく失敗します。というか、そのような方は中小企業診断士になんでなろうとしてるの?と思ってしまいますが。

「聞くことがない」と思っている方は、そもそも主体的にヒアリングに参加しようとしていないあるいは社長が話したことを踏まえた質問を考えていない、ということではないかと思います。社長が言っていることはひとつひとつ意味があり、戦略や解決提案を考える最大のヒントになります。是非、他のメンバーの質問に乗っかる形でもいいので、ヒアリングの時に数多くの情報を引き出しておきましょう。

議事録係を決めてもいいがみんなで議事録を取ることがおススメ

報告会までに対象会社の経営者から直接話を聞ける機会は1回です。その内容がすべての分析のベースになるといっても過言ではないので聞いた内容を必ず記録しておく必要があります。

会社ではレコーダーに記録してあとで文字起こしをするなんてこともあると思いますが、実務補習ではレコーダーは使えないと思っておいた方がよいです。レコーダーについては、私の班では、レコーダーにとることで経営者が心を開いて話してくれなくなることがあるから指導員から使わないことと事前に言われていました。そもそも2時間を超える内容をレコーダーで聞きなおして文書化するという暇がないです。

はじめてあった人、はじめて接する業種の話を聞いて、すべて内容を理解できる人はほとんどいないと思います。そのため、議事録を1人の人に任せてしまうと、議事録係の思い込みが入る可能性があり、その内容を是として議論が進んだ結果、社長が望まない見当違いの報告になってしまうリスクが生じます。そのため、議事録は全員で取るようにしましょう。

1日目終了。でもここで終えて(寝て)はいけない

企業ヒアリングを終えると概ね17時くらいになるので、その場で解散あるいは初対面ということで決起集会(飲み会)になることが多いと思います。

飲み会を終わった ⇒ さーて、疲れたから寝るか

それはやめましょう。

その日のうちに各自議事録を作成しておき、その企業は何が問題なのかを自分なりに整理しておくことをおススメします。万一、全員が同じマインドで誰かがやるからいいやとなって、全員なにもやってきていなかったら2日目に地獄を見ます

2日目(土)超重要日

さて、2日目になります。

この日は朝9時から17時まで1日中打合せになります。この日にある程度方向感が握れていないと一週間の作業期間を経て報告書を提出するまであと1日ちょっとしかメンバーで話し合える機会がありませんので、非常に重要な一日になります。

この日にやるべき大まかな流れは、事実確認⇒企業分析⇒戦略の方向性⇒重要課題抽出まで議論することになります。

【事実確認】まずはヒアリング結果の確認から

まずは、前日の企業ヒアリング結果をメンバー間で共有するところから開始します。ヒアリング結果は、そのまま報告書の一部とすることができますので、メンバーのだれかが書いてきたヒアリングメモをベースに認識合わせした際の情報を補足し、文書化しておくとよいと思います。

カテゴリ分けして整理しておく

文書化する際には、財務、組織・人事・・・といったようにカテゴリ分けしておくと、よりそのまま報告書として使えるようになると思います。

なお、ヒアリング結果の共有はあくまで事実確認になりますので、メンバーの私見や分析等は極力挟まずに淡々とその企業の状況確認をしていくと早く終えることができると思います。それぞれの意見を出し合っているとあっという間に昼前になっているなんてこともおきますので、時間を決めてやってしまいましょう。

聞き逃したこと、追加で聞きたいこともまとめておく

事実確認をしていると、あーこれも聞いておけばよかった!ということが必ずでてきます。その内容は必ず書き留めておきましょう。

指導員によるので一概には言えないですが、2日目を終えた後、追加QAという形で実務補習先に対してメールで打診できる可能性があります。指導員と経営者の関係がある程度できている実務補習先であれば心よく応えてくれるはずです。

なお、経営者の方も貴重な時間を割いて実務補習に付き合っていただいておりますので、できるだけ早めにQAを送り余裕を持った回答期限を設定しました。私の班では、日曜日(2日目の翌日)までにQAをまとめておき、指導員を介して送付後、木曜日くらいまでに回答をいただくようにしていました。また、当たり前ですが報告会では必ずお礼を言いましょう。

【事実確認】財務分析をここまでにしておくと尚良し

初回の実務補習でこのタイミングで財務分析を済ませておくのはやや厳しいかもしれませんが、一応紹介しておきます。

おそらくどの実務補習先であっても、直近数年の決算書や税務申告書は、事前に指導員からメールあるいはヒアリング時にもらえると思います。この情報をもとに、議事録確認とあわせて、中小企業診断協会から事前に配布されるMCSSというソフトを使った財務分析をしておくとよいです。分析ソフトの使い方は特段難しくないので解説しませんが、要は企業にカネがあるのかないのかをこの時点で認識しておくと、この後に行う競合、顧客の設定、目指すすべき姿を明確化しやすくなります。

カネがない企業は既存のヒト・設備等を活かした創意工夫での差別化を志向するでしょうし、カネがある企業は思い切った投資を前提とした戦略を打てることになります。

私の班の場合は、1社目がたまたま誰がみても財務状況が健全な企業でしたので、この点あまり問題になりませんでしたが、2社目以降の財務担当は、2日目どころか1日目のヒアリングを迎えるまでに財務分析を行い、班の中で認識共有を図るようにしていました。

もし、このブログを読んで初回の実務補習に臨まれる方がいましたら、1日目の企業ヒアリングを終えた後、財務担当の方には議事録メモの作成を免除する代わりに、MCSSによる財務分析作業をお願いするように交渉することをおススメします。

【企業分析】企業を取り巻く環境を分析する

PESTのフレームワーク

企業ヒアリング(と財務分析)によって、ある程度企業内部の状況や経営者がリスクだと思っていることが把握できますので、次は外部環境分析を行うことになります。

私の班では、外部環境分析を闇雲に行おうとしていたところ、見かねた指導員からPESTのフレームワークを使って整理したほうがよいとのアドバイスをいただきました。メンバー全員PEST分析の存在は当然知ってはいたのですが、普段から使っておりませんでしたので咄嗟に出てこない状況でした。

PEST分析はほどほどに

PEST分析の実施(整理)方法はいろいろあると思いますが、ブレーンストーミング形式でホワイトボードにP(政治)E(経済)S(社会)T(技術)ごとに挙げていき、都度整理していくという方式で進めるのがよいと思います。

PEST分析は、こだわるときりがない(いくらでも挙げられる)ので、ある程度まとまったら終えてしまった方が良いです。PEST分析を行っている最中に、メンバー間で気になった事項をwebで調べながら対応していると、いくら時間があってもきりがありません。この作業は次週までにメンバーの誰かが調べておくようにしておき、次週確認あるいは調査が出来次第メールでメンバーに共有するということで対応するとよいです。

大体お昼位までに、ここまで終えていたらいい感じで来ていると思ってOKです。

【企業分析】3C分析、SWOT分析

2日目の本題はここからです。

3C分析でターゲット、競合のイメージを膨らませる

この段階で、ヒアリングを基にした企業内部の状況と企業を取り巻く外部環境は大方メンバー間で認識できている状態だと思います。

次に行うのは3C分析になります。3C分析の中でも特にCompetitor(競合)とCustomer(顧客)の検討を特に重点的に行います。

この2つについてきちんと議論しておくことによって、【競合】対象企業にとって打ち勝つ敵はどこなのか?ベンチマークする企業はどこなのか?、【顧客】取り込むべき顧客層はだれか?どの層なのか?、についてメンバー間で共通のイメージを持つことができ、後の議論にブレが生じにくくなります。

SWOT分析をなめるな

これまででてきた情報の総ざらいの整理としてSWOT分析を行います。

やり方はホワイトボードを4分割し、SWOTそれぞれを挙げてまとめていく方法がよいです。その際、ホワイトボードの隅っこに3C分析で抽出した競合、ベンチマーク、ターゲットを書いておくとよいです。

ここで、SWOT分析について少し補足しておきます。

SWOT分析というと、そんなの簡単だよ!とか、いまさらそんなことして意味あるの?とかいう方がたまにいるのですが、なめてはいけません。

何の情報も整理されないままSWOT分析を行うと見当違いの分析になり、全く使えない分析となりがちです。しかし、ここまでの作業で行った情報を用いて、さらにそれを踏まえ設定した仮想敵としての競合と取り込むべきターゲットが明確な状態でSWOT分析を行うと素晴らしい分析方法に早変わりします。

特にS(強み)の部分とW(弱み)の部分は、設定した競合に対する強み・弱み、ターゲットを取り込むための強み・弱みとして抽出できますので、ポイントが明確化されます。

おそらくSWOT分析が使えないと言っている人は、議論の土台とすべき情報を整理しないまま漠然とやっているからだと思います。かくいう私もSWOT分析疑念派だったのですが、実務補習の経験によってSWOT分析に対する認識が180度変わりました。

【ゴール設定】提案した先に目指す目標はどこか

SWOT分析でその企業を取り巻く機会・脅威と企業が持つ強み・弱みが明らかになりました。この分析結果と経営者ヒアリングをもとにした〇年度に到達していたい姿をゴールとして設定します。

実務補習では、ゴール設定をしろとは言われないかもしれませんが、3社の実務補習をこなした経験から、これをしておくことにより最終的に提出する報告書や経営者への報告会で私たちが考えるこの提案書を実行することで到達する目標はここです!と明確化できるのでわかりやすい提案につながると思います。

ちなみに〇年後については、1~3年程度が目安かなぁと思います。大企業では3年というと中期計画という感じですが、中小企業の世界では3年先は読めないということがほとんどですので、これ以上の期間設定は長すぎると思います。

また、目指す姿もできるだけ定量的な指標で具体的に示したほうがよいと思います。最もわかりやすい置き方は売上高〇〇億円を目指すとか営業利益〇〇%にするといった形でしょうか。

ゴール設定はあまり悩まずにさくっと置いてしまいましょう。

【基本戦略】誰に、何を、どのように

ゴール設定ができたら基本戦略を設定します。

ここは中小企業診断士2次試験でも定石の「誰に、何を、どのように」戦略策定のフレームワークを作ってわかりやすく短文で作るのがおススメです。

作り方はシンプルです。

ここまでの3C分析、SWOT分析で競合との差別化やターゲットとすべき顧客の議論はできている状態だと思いますので、それを盛り込んでリーダーが素案をホワイトボードに書きます。そしてそれをメンバーで議論し仕上げていくといった感じです。

戦略策定のフレームワークは数あるフレームワークの中でも最強ではないかと個人的に考えています。というのも、大企業のように事業の多角化が行われておらず、経営資源も豊富でなく、マネタイズする手段も限られる中小企業にとっては、極めてシンプルにやるべきことを明確化して伝えることができるからです。

【課題設定】戦略に沿って現状とゴールを埋めるためにやること

あとは具体的な提案・・・といきたいところですが、その前に現状分析とゴールの間にある溝を埋めるために、戦略に沿って行う特に重要な課題を3~5点程度挙げておくといいです。

重要課題を挙げておけば、このあとに登場する具体的な解決提案によって、どの課題を解決していくのかが伝わりやすくなります。提案を最終的に聞いた企業側の立場にたつと、解決提案の実行することで⇒戦略に沿った課題の解決に繋がり⇒ゴールへの到達できる、という一連のストーリーを想起してもらうことができます。ストーリーが理解されると解決提案を実行してもらいやすくなるということです。

ここまでで16:30くらいだと2日目としては100点満点

結構盛り沢山ですが、ここまでの作業を16:30までに終えておくとだいぶ順調に進んでいると認識を持っていいと思います。

なぜ16:30かというと、会議室は17:00完全撤収となっておりその場での議論継続はできなくなるからです。また、16:30からの10分程度で2日目の議論の振り返りと翌週までの作業確認を行う必要があります。

ちなみに、初回は上で挙げたようなことにうまくいくことはないと思います。その場合は、近くの喫茶店で延長戦ということも想定しておいた方がいいと思います。

2日目は作業ではなくて議論の場にする

ここまで見た通り、2日目は盛り沢山過ぎて疲れるとは思いますが、9:00~17:00は議論する時間(≠作業する時間)と考えて臨んだ方がよいです。

中には、無言で黙々と作業を行っている班もありますが、もったいないです。報告を受ける経営者は個人から報告を受けるのではなく、班から報告を受けるので、集まっている時間はメンバー全員でできるだけ意識の統一化を図るために議論する場と割り切って捉えたほうが良いと思います。

まとめ

今回は実務補習5日間のざっくりとした流れと、最初の二日間の具体的な進め方について書きました。

最初に申し上げたとおり、上記のやり方はすべての班に当てはまる方法ではないのであくまで参考という位置づけで捉えていただければと思います。

実務補習では最も基本的なフレームワークを使って現実の企業分析を進めていくことになります。戦略フレームワーク、SWOT、3Cなどは古臭い化石のようなフレームワークなんて言う人もいますが、はじめて接する企業に対して実際につかってみるとなかなか奥深く&とても難しいものだと実感できると思います。

実務補習の機会を活かして、これらを舐めずに取組み、いつでもサッと取り出せる懐刀のような存在にしてしまいましょう。

今回はここまでです。次回は、2日目を終えたあとの3日目(次の土曜日)までの過ごし方から3日目までの流れを書く予定です。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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