【証券アナリスト独学】短期、省力で1次に受かる科目別勉強法

証券アナリスト

今回は科目別の勉強法について書きたいと思います。

紹介する勉強法は、2~3日の超短期で受かる奇をてらった方法でなく、各科目とも8~9割の点数を取って確実に合格する極めて正攻法の勉強法・学習スケジュールでなので、これから受験する皆様は是非参考していただければと思います。

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経済

経済は勉強したことがある人とない人で勉強法が分かれる

経済は初学者と勉強したことがある人で大きく勉強時間が異なる科目です。ちなみにここでいう初学者とは大学で経済学を学んだことがない方、各種資格試験で経済学を学んだことがない方を指します。

まずは勉強したことがある方から紹介します。

経済を学習したことがある方の勉強法

勉強したことがある方は過去問だけでOK

経済を一度でも勉強したことがある方は、TACの過去問だけ購入して、あとはひたすらそれをやり続ければ問題ありません。TACの過去問は過去3年分(春、秋、春、秋、春の計5回分)が掲載されています。勉強していると気づきますが類似問題が繰り返し出題されていますので、一周回すだけで復習効果も期待できます。

勉強法(勉強したことがある方)

経済は、大きく章分けするとミクロ経済マクロ経済金融経済国際金融からなります。

このうち、ミクロ経済、マクロ経済、金融経済はTACの過去問集を3周行います。2周終えるとほとんどわからない問題がなくなるため、 3周目は2周目までに分からない問題に印をつけておき、その部分だけ復習するようにします。

この3つの章については、経済学を学んだ方であればあれっ!もう終わり??というレベルですのでサクッと終わらせてしまいましょう。頻出の限界費用曲線やIS/LM分析等もしょぼい問題しかでないです。

あえて気を付けるとすれば、ミクロ経済の価格弾力性の計算と状態価格の計算、金融経済の日銀当座預金の計算だと思います。しかしこれらについても毎年似たような問題が出るため無理やり公式を覚えてから過去問に挑むということはせず、とにかく過去問を解く中で理解していくという姿勢で繰り返し勉強すればいつの間にか理解できるようになりますので心配無用です。

とはいえ、何回解いても苦手な分野・問題というのはだれにでもあると思います。私の場合は、日銀当座預金の増減が苦手だったので以下のように無理やり覚えていました。意味不明で語呂合わせにすらなっていないですが、テストの瞬間だけ暗記していればOKなのでなりふり構わずにいきましょう。

銀行券要因行超収超
財政要因
当座預金の動き当座預金減少 当座預金増加 
覚え方ハコウケ減少カンバラ増加

鬼門は国際金融

鬼門は国際金融です。この章も基本的に過去問を3周するというやり方は変わらないですが、為替レートと相対的購買力平価レートの計算が面倒です。

これらの計算がややこしい理由は、2か国間の関係でどっちが日本でどっちがアメリカ(ヨーロッパ)だっけ?ということを気にして公式を覚える必要があるからです。これらは理屈で覚えるよりも暗記したほうが早いので、是非2か国の関係性を意識のうえ暗記し、過去問を繰り返し解いてみてください。

慣れないとこの部分は捨ててしまおう!と考えてしまいそうになりますが、この部分は大問として出題され配点も大きい割に一度理解できると得点源にできるため、捨ててはだめです。最悪、公式を試験直前に重点的に頭に焼き付けておき、問題用紙が配られたら即書いてしまうという作戦もありかと思います。

もし捨てるとするならば、これら計算問題の考え方を文章で正誤選択させる「マクロ政策と外国為替市場」の単元(TAC過去問集での単元名) です。ここは完璧に理解すると非常に時間がかかり効率が悪いので必要に応じて取捨選択をしてみてください。

経済初学者の方の勉強法

経済初学者は石川テキストで勉強を開始する

経済学を初めて学ぶ方は、過去問から入ると恐らく挫折します。過去問の最初のページから効用関数、無差別曲線という聞いたこともないような単語が出てきます。しかもTAC過去問集の解答・解説もそれら単語は知っている前提での記載になっています。

おそらく、勉強開始5分で受験を止めよう…となりますので、少し回り道になりますが以下のテキストを使って経済学を勉強することがよいと思います。

著者の石川先生は、この本の他にも経済学を試験科目を持つ資格試験受験者に向けて書いており、特に公務員試験を受ける人ならだれでも一度は読んだことがあるというレベルの有名な方です。かくいう私も、中小企業診断士試験で経済学攻略に困っていたところで会いました。とにかく記載が平易で初心者でも挫折しないよう配慮していただいている非常にわかりやすい本です。

石川テキストの使い方

使い方は、基本的には一章分読んだら掲載されている復習問題を解くという進め方でよいです。但し、ミクロ経済学の限界費用曲線の導出方法やマクロ経済学のIS/LM分析、AD/AS分析といった経済学における頻出問題は理屈を理解する必要があるので、テキストの解説に沿って何回もグラフを書いて覚えるようにしましょう。

わかりやすいとはいえ、結構分厚いので初学者は30~50h程度(約1か月)みっちりと経済学の基礎を身に着けるとよいと思います。

この本を終えたあとは、さきほど書いた「経済を学習したことがある方の勉強法」を参考に勉強を進めてみてください。基礎が身についていれば過去問は驚くほど簡単に解けるようになっていると思います。

財務分析

簿記の知識があれば有利。でも必須ではない

財務分析は簿記の知識があるとかなり有利です。

では、簿記を勉強したことがない人はどうすればよいのかということですが、ここで、よし簿記3級、2級を取得してから改めて証券アナリストに挑戦しよう!なんてことは絶対にやらないでください。前々回の記事で書いたとおり、簿記2級と証券アナリストの難易度はほとんど変わりませんので大変な回り道になること必至です。

簿記初学者の人は、どうしても簿記資格を取りたい人は3級まで、資格を取らない人は、以下のB/S、P/Lの基本構造だけを頭に入れて過去問集に取り組むと良いと思います。

なお、こないだ本屋さんに行ったときに、簿記初学者向けに何かいい本が無いかなぁと探していたところ以下の本がいいと思いましたので紹介します。マンガなので空き時間に休憩がてら読めますし、B/S、P/Lだけでなくキャッシュフロー計算書まで解説しているので、一通り読むことで頭の中に財務諸表の全体イメージを描けるようになるかと思います。

簿記経験者も初学者も使うテキストはTAC過去問集だけ

証券アナリストの財務分析合格に必要なテキストは、経済と同じようにTACの過去問集だけです。とにかく掲載されている問題を解きまくるだけで十分です。

財務分析の章構成

TACの過去問集の構成は、以下の通りになっています。各章ともページ数は少ないです。

  • 財務会計総論 … 総論、知識問題
  • 資産会計 … B/Sの左側(資産)の理解
  • 負債会計 … B/Sの右上(負債)の理解
  • 純資産会計 … B/Sの右下(純資産)の理解
  • 損益会計 … P/Lの理解
  • 企業結合会計 … 2以上の会社の連結会計(応用編)
  • 財務諸表分析 … B/S、P/Lの全体理解、計算問題
  • 株式価値評価 … ここだけ別論点

上記の章構成と先ほど紹介したB/S、P/Lの内容と比較してみてもらえばわかりますが、財務分析という科目は、企業の財務諸表の構造を広く(浅く)確認することを目的にしていることが分かります。

簿記学習経験者は前から順番に解いていく

簿記を学習したことがある方は、財務諸表のイメージはなんとなくつかめていると思いますので、何も考えず前から順番に解いていきましょう。

もし簿記3級のみしか所持していない方は連結会計?、包括利益??となるかもしれませんが気にしないください。1回目はよくわからなくて間違うかもしれませんが、単なる知識確認問題が多いので、解説を読んで2回、3回と解いて問題の内容を覚えてしまえば本番でも十分に対応できます

最後の株式価値評価だけは、簿記の論点というよりも会計学の論点なので簿記のアドバンテージがないですが、単なる計算問題なので繰り返し解いて身に着けてしまいましょう。

過去問集さえ完璧にしておけば、本番でもほぼ初見の問題はないと思いますので安心してこれだけを仕上げるようにしましょう。

初学者は思い切って分析総合問題から解いてみる

簿記初学者の方は、よくわからないけど覚悟を決めて過去問を何周か回してみる。そして覚えてしまう…という方法もありっちゃありですが、個人的には財務諸表の全体像を把握してから個別問題を解くことがいいのではないかと思います。

というのも、TAC過去問集の構成は資産、負債…と財務諸表を構成する個別論点が先行して記載されており、それが終わった時点で総合問題という流れになっています(第一章の財務会計総論は資産と負債の論点が混合しているといった意味での総論であり、中身は個別論点の確認です)。

簿記学習経験者は、財務諸表の構成を知っているので過去問集を前から順番に解くことで違和感は感じませんが、初学者がそれをやってしまうと木を見て森を見ず状態になってしまいます。

具体的な方法としては、電卓片手に財務諸表分析の章の分析総合問題(問題集の122問目あたりから数問)から取り組んでみてください。分析総合問題は財務分析の科目の一番最後に控える問題に応用問題の位置づけになりますが、ぜんぜん難しくないです。問題文中にほとんど答えが書いてあるサービス問題です。

分析総合問題を数回やってから財務諸表の構成を頭にたたき込み、その後に過去問集を最初から勉強するやり方を試してみてください。

なお、分析総合問題を解くときの重要な公式は以下の二つです。恐らくこの二つの公式、は財務分析の科目において最も大事なものなのでしっかり問題演習をして覚えることがよいです。覚えるコツは、それぞれの名称でなく分子・分母を書いてみることです(例えば、総資本回転率でなく「売上高/総資本」で覚えます!)。

ROA(総資本事業利益率)

ROA(事業利益/総資本) =

 売上高事業利益率(事業利益/売上高)×総資本回転率(売上高/総資本)

※事業利益=営業利益+受取利息・配当金+持分法による投資利益

ROE(自己資本当期純利益率)

ROE(当期純利益/自己資本) =

売上高純利益率(当期純利益/売上高)×総資本回転率(売上高/総資本)×財務レバレッジ(総資本/自己資本)

証券分析とポートフォリオ・マネジメント

証券分析もTAC過去問集だけ

結局このテキストしか紹介していないですが、証券分析もTAC過去問集を使います。というか、証券分析こそ、この過去問集だけをやるべきで他のテキスト、問題集に浮気してはいけません(…なぜなら私は他のテキストを買って全く使わなかったからです)。

まとめテキストは必要ない

証券分析は、経済を勉強していた方も、簿記を勉強していた方もそれらを勉強したことによるアドバンテージがほとんどないので、テキストから一から勉強しようという考えに至ることがあると思います。

そんな私も同じことを思い、買いました。買ってしまいました。失敗…

4,000円くらいしますが、最初の10ページ程度を読んでそれ以降開いていません。

この記事を書きながら久しぶりに開いてみましたが、過去問集を仕上げた後に読むと概ね理解できます。しかし、問題を解かないうちに読むと理論とギリシャ文字を多用した数式が300ページ以上に渡って続くのでかなり厳しい戦いを強いられると思います。

一次試験に受かる分にはまとめテキストはいらないと思います。試験に合格した後にどうしても理論を理解したいということであれば読んでもいいと思います。

数学の勉強テキストもいらない

証券分析は問題を解いていると、微分、分散、共分散、幾何と学生時代を思い出すような数学の知識を使った問題が出てきます。

何か難しそう。どうしよう。…と考えてしまいます。その心の隙間を突いて証券アナリスト協会が一次通信講座を申込む際に抱き合わせで薦めてくるのが以下のテキストです。

…買いましたよ。買ってしまいました。

勉強開始当初に10ページくらい読みましたが、内容自体は分かりやすいです。しかし、試験問題を解くうえでどこら辺が役に立つのかイマイチわからない。だから読み進める気が起きない。結果、使わない…ということになりました。

では、数学攻略をどうすればよいのか?という点ですが、ぶっちゃけ算数+αができれば問題なしです。ここでの算数とは四則演算、+αは微分の基本的な解き方と過去問集に出てくる公式を覚えることです(掛け算、割り算が怪しいとなると試験で電卓を使えるとはいえ厳しいです)。なお、解の公式といった学生時代を思い出す懐かしい論点も出てきますが、公式を押さえていれば問題ないので心配はいらないです。

証券分析・ポートフォリオマネジメントの章(単元)構成

ここからはTAC過去問集の章構成から勉強する順番を解説します。

証券分析は以下の6章で構成されています。

  1. ポートフォリオマネジメント
  2. 債券分析
  3. ファンダメンタル分析
  4. 株式分析
  5. デリバティブ分析
  6. 証券市場の機能と仕組み

章ごとの難易度等

章ごとに難易度の違い章間の親和性があります。この2点を踏まえ勉強する章の順番を考えてみます。なお、ここでは春試験で財務分析を攻略(合格)済みの前提で書いています。

難易度(というか面倒くささ)順

5.デリバティブ分析 > 1.ポートフォリオマネジメント = 2.債券分析 = 4.株式分析 >>>  6.証券市場の機能と仕組み  > 3.ファンダメンタル分析 

章間の親和性

<グループ①>証券・債券分析系 … 1.ポートフォリオマネジメント、2.債券分析、5.デリバティブ分析

<グループ②>企業分析系 … 3.ファンダメンタル分析、4.株式分析

<グループ③>語句暗記系 … 6.証券市場の機能と仕組み

②企業分析系→①証券・債券分析系→③語句暗記系の順で勉強する

この科目は、大きく3つのグループから成り立ちます。グループ毎に勉強したほうが効率が高くなります。

このうち、最も難しい(面倒)なのはグループ①の証券・債券分析系になります。5章デリバティブが最たるものですが、とにかく取っ付き辛く、覚える公式も多いグループです。

グループ②は、3章のファンダメンタル分析が財務分析を簡単にしたような章で、すべての章の中で最も簡単だと思います。4章の株式分析は3章の応用というか、理論株価や評価尺度を定量的に求める手法の確認になります。

グループ③はただの一般常識+αの確認です。毎年似たような問題がでます。

上記の特徴を踏まえ、春試験で財務分析を合格しているという前提で考えると、まず勉強すべきはグループ②になります。証券アナリストとしての専門知識であるグループ①から勉強することも考えられますが、面倒&ギリシャ文字が沢山出てきて心が折られそうになるのでグループ②から勉強開始することをおススメします。

グループ②で勉強を軌道に乗せたらグループ①に取り掛かります。そして最後にグループ③を勉強します。グループ③に関してはぶっちゃけ問題を数回解くだけでOKなので試験一週間前まで放置していても大丈夫です。なお、グループ③は簡単といえど、解いたことがないと用語の意味がわからず大きく失点する可能性があるので無勉強で本番に臨むことだけはやめたほうがよいです。

①証券・債券分析系の勉強は1章と2章を完璧に仕上げる

グループ①証券・債券分析系の勉強法だけ少し補足します。

TAC過去問集を見てもらえればわかりますが、証券分析の科目で最も問題数が多く配点が高いのが1章と2章なります。また、1,2章は計算問題がほとんどですが、公式を知っている前提で出題されるため、過去問を十分に勉強していないと全く点数が取れずに不合格ということも考えられます。

5章のデリバティブは理論が難解で暗記色も強いため、勉強する気が失せます。どうしても苦手という方や試験直前で時間がないという方は5択の運にかけ無勉強でスルーしてしまい、グループ③の勉強へ移行してもいいと思います。

とにかく5章を捨ててでも1章、2章は完璧に仕上げるようにしたほうがよいです

証券分析は関数電卓を用意する必要あり

最後に念のため持ち物のことを書きます。

証券アナリスト試験は電卓を2台まで持ち込むことができます。電卓2台としているのは1台が壊れたときのため…というよりは、普通の電卓と関数電卓を2台持ち込めると理解したほうがいいです。

関数電卓は、特に1章、2章の分散や標準偏差、コンベクシティ等の計算で必要になります。普通の電卓の機能を知り尽くしている人はそれでも対応可能ですが、そうでない人は諦めて関数電卓を購入しましょう。また、関数電卓は計算式を表示できるので見直す際にも役に立ちます。

ちなみに関数電卓は安いやつ(1,000円位)で十分です。私は↓のを使いました。

なお、関数電卓は色々と機能がありますがこの試験を突破するということであれば、最低限のボタン操作を知っていれば十分です。

まとめ

結局、どの科目も過去問をやりましょう!としか言っていません。ごめんなさい。

証券分析が最たるものですが、一つ一つの論点がなんとなく難しく感じ、ギリシャ文字が羅列してある長い(く見える)計算式のせいで、専門書やまとめテキストに手を出しがちになります。そして難しい本の解説のおかげでどうすればいいのか分からなくなって、どうしよう?!と迷い道に入ることになります(…そしてその隙間をついてうまい商売を仕掛けてくるTACと証券アナリスト協会!)

ぶっちゃけ、1次試験は過去問の焼き直しでしかないので、最初は良くわからなくても解説を読みながら電卓を叩き食らいついて問題を解いていくのが一番の近道になります。

過去問だけ買って勉強する分には1万2千円程度の投資で済みます。しかも、過去問で勉強し完璧にするということは、証券アナリストとして求められている知識を何回も繰り返し頭に叩き込むことになりますので、専門書で勉強して途中で挫折するよりも余程大切な知識が身に着きます。

是非、前回、今回で紹介した勉強法を実践することで、短期、省力(&省コスト)で受かってしまいましょう。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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