【中小企業診断士の独学勉強法】二次筆記試験番外編 DCF法問題をどの問題集よりも丁寧に解説する

診断士二次試験

今回は、事例4を苦手にしている方が特に躓きやすいDCF法について解説します。

解説は具体的な解法イメージがつくように自作問題で行います。

躓きそうなポイントを思いつく限り丁寧に書いてみたので、しつこい&くどい解説が多いかもしれませんがご容赦ください。

おそらく中小企業診断士のどの参考書よりも丁寧に解説していると思うので参考にしてもらえると嬉しいです。

では、早速問題です。まずは何も見ずに解いてみて下さい。

問題

業績良好の黒字企業であるD社は印刷工場を営んでいます。D社は、これまで使っていた印刷機が老朽化してきたので、古い印刷機を処分し、新しい印刷機の導入を検討しています。

現在、導入を検討している印刷機の購入価額は2,000万円です(耐用年数は5年、残存価額は0円、定額法で償却。5年後の価値は0円で処分費用等はかからない)。

一方、現在使用している印刷機は5年前に1,000万円で購入したものです(耐用年数は10年、残存価額は10%で、定額法で償却。10年間使用した場合の処分価額は残存価額と同額と見積もり)。

印刷機を新たに導入した場合、D社の運営コストは毎年500万円抑制できる見込みです。なお、現在使用している印刷機を現時点で売却した場合の価値は200万円となります。

税率は40%、資本コストを8%(複利現価係数は小数点第3位を四捨五入し各自で計算すること)として、D社は新しい印刷機を導入すべきかの評価を40字以内で述べてください。

※計算にあたって、キャッシュフローは年度末に発生し、処分に伴う売却損益は1年度末に発生するものとする。

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解法・解説

では、解法・解説に入りたいと思います。

恐らく、DCF法が難しい(と感じる)原因は、①旧設備を使い続けた場合に本来享受すべきであった効果を把握すること(機会費用の考慮)と②税効果を考えることの2点だと思います。

以下の手順で問題を解いていき、この点については特に詳しく解説していきたいと思います。

なお、DCF法の問題は、慣れてくると新旧設備の増減キャッシュフローを求めて解くという方法もありますが、最初からその解き方をしてしまうと頭が混乱すると思いますので、下記解説では取替前設備と取替後設備をバラバラに認識にして計算する方法で解説します。

  1. 印刷機取替前後の有利不利を何年間のキャッシュフロー計算で判断するか特定する
  2. 新しい印刷機を導入した場合のキャッシュアウトを考える
  3. 新しい印刷機を導入した場合の減価償却費を考える
  4. 新しい印刷機を導入した場合のコスト抑制効果を考える
  5. 新しい印刷機を導入し、古い印刷機を売却した場合のコスト効果を考える
  6. 古い印刷機を使い続けた場合の減価償却費を考える
  7. 古い印刷機を耐用年数最後まで使い続けた場合の価値を考える
  8. ここまでの内容を表にまとめる
  9. 現価係数を計算する
  10. 割引後の各年度のキャッシュフローを計算する
  11. 答案を作成する

手順①.印刷機取替前後の有利不利を何年間のキャッシュフロー計算で判断するか特定する

この問題で明らかにすることは「新しい印刷機と古い印刷機のどちらを導入するのが有利か」ということです。そのためには、新旧印刷機を同期間使った場合にどちらが有利かを判断する必要があります。

まずは、両者を比較する期間を考える必要があります。この点について、問題文で注目する箇所は以下太字部分です。

現在、導入を検討している印刷機の購入価額は2,000万円です(耐用年数は5年、残存価額は0円、定額法で償却。5年後の価値は0円で処分費用等はかからない)。

一方、現在使用している印刷機は5年前に1,000万円で購入したものです(耐用年数は10年、残存価額は10%で、定額法で償却。10年間使用した場合の処分価額は残存価額と同額と見積もり)。

新しい印刷機は今導入すると5年間使用できます(寿命5年)。一方、現在使用している印刷機(古い印刷機)はすでに5年間使用しており、今から更に5年間使用すると10年間使用することとなり、寿命を迎えることになります(現実には騙し騙し使えばもう少し使えるよね!ということはままありますが、試験を解くうえでは寿命を迎えてこれ以上使えないと考えてください)。

つまり、5年経過するとどちらの印刷機も寿命を迎えるので、現時点から両設備の寿命が尽きる5年後までを比較する期間として、新しい印刷機に買い替えたほうがよいのか、古い印刷機を使い続けたほうがよいのかを、それぞれ各年度のキャッシュフローを計算することで判断することが必要だということが分かります。

これを表に表すと↓のような感じになります。

①期間記入1年始1年末2年末3年末4年末5年末

手順②以降では、この表に各年度のキャッシュの動きを書いていきます。ちなみに、「1年始」とは今現在を表しており、期首のようなイメージです。「1年末」は現在より1年後で、「5年末」とは現在より5年後(両設備の寿命が尽きる時)を表します。

手順②.新しい印刷機を導入した場合のキャッシュアウトを考える

ここからが具体的な計算です。

まずは、新しい印刷機を導入した場合に生じるキャッシュアウトを考えます。 問題文で注目する箇所は以下太字部分です。

現在、導入を検討している印刷機の購入価額は2,000万円です(耐用年数は5年、残存価額は0円、定額法で償却。5年後の価値は0円で処分費用等はかからない)。

購入した場合のキャッシュアウトは、2,000万円です。ではいつ買うのでしょうか。1年後や2年後に買うわけではありません。買うタイミングは「」になります。

それを手順①で作成した表に書き込むと以下のようになります。

①期間記入1年始1年末2年末3年末4年末5年末
②新印刷機購入△2,000

手順③.新しい印刷機を導入した場合の減価償却費を考える

ここからがDCF法で躓きやすいポイントです。まずは減価償却とは何かから解説します。

減価償却とは「長期間にわたって使用される固定資産の取得(設備投資)に要した支出を、その資産が使用できる期間にわたって費用配分する手続き」になりますので、「会計上の費用」とはなりますがキャッシュアウトは生じません

この点を頭に置き、問題文の新しい印刷機の減価償却費に関する記載を捉えます。

業績良好の黒字企業であるD社は、…(略)。

現在、導入を検討している印刷機の購入価額は2,000万円です(耐用年数は5年、残存価額は0円、定額法で償却。5年後の価値は0円で処分費用等はかからない)。

(中略)

税率は40%、(以下略)

※計算にあたって、キャッシュフローは年度末に発生し、処分に伴う売却損益は1年度末に発生するものとする。

問題文のとおり、導入時に2,000万円のキャッシュアウトが生じた以降、現実にキャッシュアウトは生じていません。しかし、会計上は2,000万円を、印刷機を寿命である5年間で期間按分する(定額法、残存価額ゼロ)ことになりますので、年度毎に2,000万円÷5年間=400万円/年の費用計上ができることになります。

また、問題文より、D社は業績良好の黒字企業とありますので400万円の費用計上をしても赤字にはならない前提です(赤字になると繰越欠損とか考えないといけないですが、中小企業診断士試験でそこまででることはないので無視でいいです)。

では、この情報を基に、手順①で作成した表の各年度にはどんな金額をいれていくか考えます。

△400万円と答えてしまった方。残念ながら、違います。

DCF法では、あくまでキャッシュの動きで考える必要がありますので、以下のように考えます。

400万円はキャッシュアウトしていません。キャッシュアウトしていないどころか、400万円費用計上できたことで、本来400万円分に必要だった税金を払う必要がなくなりました(=税金分だけキャッシュイン)。

つまり、新しい印刷機を導入することで、各年度400万円×40%(税率)=160万円分のキャッシュイン(節税効果)が生じることになります。

これだけで意味が分からない場合、以下で税率40%の場合に支払う税金をイメージしてみてください。

1)単年度の収入が1,000万円で、減価償却費が400万円生じた場合
→(1,000万円 – 400万円)×40%=240万円の税金支払い
2)単年度の収入が1,000万円で、減価償却費が発生していない場合
→(1,000万円 – 0万円)×40%=400万円の税金支払い

みてのとおり、減価償却費が生じている1)のケースの方が2)と比べ160万円現金を支払わなくてよくなっています。つまり、減価償却費を計上したことにより節税ができたことになります。

あとは、160万円のキャッシュイン効果の発現時期を考慮して、手順①の表に書き込むだけです。問題文に「 ※計算にあたって、キャッシュフローは年度末に発生…」とあるので、新しい印刷機の寿命である5年間、各年度末に発生すると考えます。

①期間記入1年始1年末2年末3年末4年末5年末
③新印刷機減価節税160160160160160

手順④.新しい印刷機を導入した場合のコスト抑制効果を考える

新しい印刷機を導入した場合のコスト抑制効果を考えます。問題文で注目する箇所は以下太字部分です。

印刷機を新たに導入した場合、D社の運営コストは毎年500万円抑制できる見込みです。

税率は40%、(略)

※計算にあたって、キャッシュフローは年度末に発生し、(略)

私は、DCF法を最初勉強していたときに「新しい設備を導入しても収入がいくら増えたかわからないじゃないか!これでは設備入れ替えの判断はできないぞ」と思っていました。DCF法を理解している人からみると「はぁー何言ってんの?!」と感じるかもしれませんが、私は本気でそう思っていたんです。

こんなアホな疑問を持つ人は私以外いないかもしれませんが、念のためこのレベルから解説します。

実は収入が増えること、問題文に明確に書いてあるんです。

注目すべきは、D社の運営コストは毎年500万円抑制できる見込みという文です。

運営コストを500万円抑制できる=500万円収入が増えるということです。あたりまえ過ぎますが私は理解できなかったのであえて書きました。

というわけで、毎年500万円収入が増加しますが、ここから税金を差し引いた額が実際のキャッシュインとなりますので、以下のように計算します。

500万円 ×(1 – 40%)= 300万円

あとは、手順③と同じように、問題文に記載のとおりキャッシュフローは年度末に生じますので、これを表に書いていきます。

①期間記入1年始1年末2年末3年末4年末5年末
④新印刷機コスト抑制300300300300300

手順⑤.新しい印刷機を導入し、古い印刷機を売却した場合のコスト効果を考える

新しい印刷機を導入すると古い印刷機は不要になります(持っていてもいいですが試験では取り替えることを前提に話を進めます)。ここでは古い印刷機をなくした場合のキャッシュの動きを把握します。問題文で注目する箇所は以下太字部分です。

(略)

現在使用している印刷機は5年前に1,000万円で購入したものです(耐用年数は10年、残存価額は10%で、定額法で償却。10年間使用した場合の処分価額は残存価額と同額と見積もり)。

印刷機を新たに導入した場合、D社の運営コストは毎年500万円抑制できる見込みです。なお、現在使用している印刷機を現時点で売却した場合の価値は200万円となります。

税率は40%、(略)

※計算にあたって、キャッシュフローは年度末に発生し、処分に伴う売却損益は1年度末に発生するものとする。

問題文を見ると、古い印刷機は現時点では200万円で売却できそうです。つまり200万円キャッシュインが見込めることになります。

これだけで終わりでしょうか?

まだです。古い印刷機を売却した場合の売却損益の把握が必要です。売却損益を把握するには以下の情報が必要です。

  • 古い印刷機の取得した当時の簿価はいくらか → 1,000万円
  • 現時点までにどの程度減価償却したか → 1,000万円×0.9÷10年×5年(現時点までの経過年数)=450万円

上記情報を仕訳としてまとめると以下の通りになります。

借方貸方
現金 200
減価償却累計額 450
売却損 350
古い印刷機1,000

ここで注目すべきは、売却損の350万円です。DCF法計算上の売却損の取り扱いは、先ほど手順③でみた減価償却費とほぼ同じです。

売却損の350万円はキャッシュアウトしていません。それどころか350万円費用計上できたことで、350万円分に必要だった税金を払う必要がなくなりました(=税金分だけキャッシュイン)

つまり、売却損の発生により350万円×40%(税率)=140万円分のキャッシュイン(=節税効果)が生じることになります。

また、「現金200万円」と「税金(節税)分140万円」のキャッシュフロー発生タイミングにも注意が必要です。

・「現金200万円」を売却して現金を得るタイミング:現時点→「1年始」に発生

・「税金(節税)分140万円」:問題文より「処分に伴う売却損益は1年度末に発生する」→「1年末」に発生

これらの点を踏まえ、表に書いていきます。

①期間記入1年始1年末2年末3年末4年末5年末
⑤古い印刷機売却効果200140

手順⑥.古い印刷機を使い続けた場合の減価償却費を考える

ここからは、新しい印刷機を導入せず、古い印刷機を使い続けていた場合に生じるキャッシュの動きを捉えていきます。

まずは、減価償却費からみていきます。問題文で注目する箇所は以下太字部分です。

(略)

現在使用している印刷機は5年前に1,000万円で購入したものです(耐用年数は10年、残存価額は10%で、定額法で償却。10年間使用した場合の処分価額は残存価額と同額と見積もり)。

税率は40% 、(略)

古い印刷機の単年度の減価償却費:1,000万円×0.9÷10年=90万円/年

考え方は手順③と同じです。繰り返しでくどいですが、以下のように考えます。

90万円費用計上することで、本来90万円分に必要だった税金を支払う必要がなくなった。

つまり、古い印刷機を使い続けることで、各年度90万円×40%(税率)=36万円分のキャッシュイン(節税効果)が生じることになります。

但し、このまま表に+36万円と書いてはいけません。

手順⑥では、もし古い印刷機を使い続けていたらという前提で検討するため、以下のように「機会費用」として考えます。

新しい印刷機を導入したために、古い印刷機を使っていれば得られた36万円/年を得ることができなかった(機会費用)

従って、実際にキャッシュを得ることはできなかったことになるので、符号を逆転し、マイナス36万円/年を計上します。

得ることができなかったキャッシュは古い印刷機の耐用年数分(=新しい印刷機を使い続けている間)発生するはずですので、この点を踏まえ、表に書き込んでいきます。

①期間記入1年始1年末2年末3年末4年末5年末
⑥古い印刷機減価節税△36△36△36△36△36

手順⑦.古い印刷機を耐用年数最後まで使い続けた場合の価値を考える

手順⑦で検討することは、もし古い印刷機を使い続けていた場合、耐用年数終了時にはいくらの価値になるのかという点です。

問題文で注目する箇所は以下太字部分です。

(略)

現在使用している印刷機は5年前に1,000万円で購入したものです(耐用年数は10年、残存価額は10%で、定額法で償却。10年間使用した場合の処分価額は残存価額と同額と見積もり)。

問題文のとおり、1,000万円×10%=100万円の残存価額が処分価額(=耐用年数終了時の古い印刷機の価値)となります。なお、「処分」と書いてありますが、試験上は「廃棄する」ということではなく、「100万円で売る」と捉えます。

ここでも手順⑥と同じく、もし古い印刷機を使い続けていたらという前提で検討するため、以下のように機会費用として考えます。

新しい印刷機を導入したために、古い印刷機を耐用年数最後まで使っていれば得られた100万円を得ることができなかった(機会費用)

従って、キャッシュは入ってこなかった前提で考えるため、符号はマイナス100万円/年となります。

表にすると以下のとおりになります。

①期間記入1年始1年末2年末3年末4年末5年末
⑦古い印刷機処分△100

ちなみに、100万円に税金はかかりません。これは、毎年減価償却をして残存価額ちょうどとなった印刷機を現金100万円と交換したにすぎないためです。仕訳で見たほうがわかりやすいでしょうか。

貸方借方
現金 100
減価償却累計額 900
古い印刷機 1,000

~ここから参考~

この問題とは関係ありませんが、もし、問題文に「古い印刷機を200万円で売却した」とあった場合は、扱いが異なります。

貸方借方
現金 200
減価償却累計額 900

古い印刷機 1,000
売却益 100

この場合、売却益が100万円生じていますので、利益に対する税金を考慮する必要がでてきます。売却益に必要な税金は100万円×40%=40万円なので、現金200万円から税金分40万円分を差し引いた160万円が「税金をのぞいた」古い印刷機の価値となります。

従って、古い印刷機を持っていなかったために生じる機会費用は、△160万円となります(古い印刷機を持っていなったために40万円の税金を支払わなくてよかったので、現金200万円から税金分40万円を差し引いている、と考えます)。

~参考おわり~

手順⑧.ここまでの内容を表にまとめる

ここまでの手順を一覧表にまとめると以下のとおりになります。

 

①期間記入1年始1年末2年末3年末4年末5年末
②新印刷機購入△2,000
③新印刷機減価節税160160160160160
④新印刷機コスト抑制300300300300300
⑤古い印刷機売却効果200140
⑥古い印刷機減価節税△36△36△36△36△36
⑦古い印刷機処分△100
⑧合計(②~⑦)△1,800564424424424324

⑧欄の1年始~5年末までの合計は、360万円になります。従って、新しい印刷機に買い替えたほうがおトク♫…ではありません。Discount Cash Flow法ですのできちんと現在の価値に割り引いて、買い替えの有利不利を判断しなければいけません。

手順⑨.現価係数を計算する

というわけで、現在の価値に割り引くために「現価係数」を求めます。本番では現価係数は与えられるケースが多いですが、今回の問題ではあえて考え方を解説するために以下の記載をしました。

税率は40%、資本コストを8%(複利現価係数は小数点第3位を四捨五入し各自で計算すること)として、(略)

資本コスト8%を使って現価係数を計算していきます。計算式と答えは以下のとおりになります。

1年末:1/(1+0.08)=0.93(小数点第3位四捨五入済み)
2年末:1/(1+0.08)^2=0.86(小数点第3位四捨五入済み)

今更説明は不要かと思いますが、資本コスト8%の前提では、現在の100万円と1年後の93万円、2年後の86万円は同じ価値という意味です。ちょっと違和感のある説明になりますが、1年後を例にとると、93万円を8%で1年運用すると100万円になる(※ここでは便宜的に四捨五入数値を使用)ので、1年間で7万円割り引かれたと考えればよいでしょう。従って、将来にいけばいくほど、現在の価値に引き直すと金額は小さくなります。

各年度の現価係数をまとめると以下のようになります。

①期間記入1年始1年末2年末3年末4年末5年末
⑨現価係数1.000.930.860.790.740.68

手順⑩.割引後の各年度のキャッシュフローを計算する

手順⑨で求めた現価係数を手順⑧で整理した表に当てはめて計算すると以下のようになります。

①期間記入1年始1年末2年末3年末4年末5年末
⑧合計(②~⑦)△1,800564424424424324
⑨現価係数1.000.930.860.790.740.68
⑩合計×現価係数△1,800524.52364.64334.96313.76220.32

⑩欄の1年始~5年末までの合計は、△41.8万円になります。手順⑧の単純合計とは逆符号になりました。この現価係数を乗じた数値が割引後(discountされた)キャッシュフローとなります。

手順⑪.答案を作成する

ここまで計算した結果を用いて、以下の問題文の記述に従い答案を作成します。

D社は新しい印刷機を導入すべきかの評価を40字以内で述べてください。

重要なのは、「新しい印刷機を導入するか」「評価」の2点を答案に盛り込めるかどうかです。

例えば、答案で「導入する」との記載しただけでは、何を導入するか分からないですし、「新しい印刷機を導入する」とだけ書いても評価が記載されていません。そのため、両方の要素を満たすように以下の4つの要素(赤太字部分)を盛り込んだ答案を書くようにします。

答案(例)

割引現在価値(←評価の基準)が△41.8万円で(←金額根拠)負のため(←日本語での評価結果)、新しい印刷機を導入すべきではない(←問題文で求められている結論)。

忘れがちなのが日本語での評価基準ですが、この文言がないと読み手は数値だけではどう判断すればよいか分からないので、必ず入れるようにしましょう。

さいごに

問題を解くことはできたでしょうか。恐らく最初のうちは、機会費用の計算を忘れてしまった!税率の使い方を間違えてしまった!ということが起こると思います。

私もそうでした。しかも何かを忘れると答えが全く違ったものになってしまう…。

最初は難しいですが、自分の頭で考えて、電卓を打って、ノートに書いて練習していると必ずできるようになりますので安心してください(単なるトレーニングです)。

ちなみにこの問題は、極めてベーシックなDCF法の問題だと思います。本番の事例4においては、上記よりも簡単なケース、難しいケース両方出題されるでしょう。しかし、この問題の解き方を押さえておけばあらかたの問題には対応できるはずです。

ちなみに、この問題を解き終わるまでの目標時間は、15分以内(理想は10分以内)です。但し、この目標時間は二次試験直前段階で達成できればよいので、最初のうちは時間を気にせず解いてもらっていいと思います。

今回はここまでです。この記事が事例4やDCF法が苦手な人の助けになれば幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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