【中小企業診断士の独学勉強法】二次筆記試験編④(問題点、課題の書き方)

診断士二次試験

今回は、 前回の記事で事例1~3攻略のポイントと書きました 「問題点」「課題」「解決策」の書き方について解説したいと思います。

この3つを混同したまま本試験に臨んでしまうと、設問で「問題点」を聞かれているのに「課題」を書いてしまったり、「課題を」聞かれているのに「解決策」を書いてしまったりと大きな減点に繋がります。また、それぞれを切り分けて理解していないがために与件文をうまく理解できないこという事態にもなりかねません。

私の場合は、事例1~3を集中対策していた4月~6月の時点では、この3つの違いをあまり理解できていませんでした。

というのも、私は、二次筆記試験の勉強を「ふぞろいの答案分析」を使用しキーワード採点を行っていたことから、これらの違いを明確に理解していないくてもキーワードさえ合えばある程度点数が入るため、意識をしていなかったのです。

しかし、7月以降の追い込み期にこれらの違いを理解できてからは、 与件文の読解力が向上するとともに、解答文の書き方が非常に安定しました。従って、勉強開始当初にこれらの違いを理解していれば効率よく勉強を進められるのではないかと思いましたので、ご紹介したいと思います。

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問題点、課題、解決策とは

まずは、問題点、課題、解決策とは何かを確認したいと思います。これらの定義は辞書で調べてもいまいち腑に落ちる記載はありませんでした。そのため、ネット検索や問題解決の本をいくつか読んで調べた結果、中小企業診断士試験における定義は、概ね以下のとおりではないかと思います。

問題点 … 目標と現状のギャップ(状況、事実)
課題 … ギャップを解消するためにやるべきこと
解決策 … ギャップを解消するための具体的な手法

とはいえ、これだけだと何を言っているかわからないですので、過去問を使って、具体例を示します(ちなみに「ふぞろい」でもこの問題を使って、問題点、課題の違いを解説しています。)

過去問を使った具体的な解説

平成27年度 事例1 第3問

A社および関連会社を含めた企業グループで、大型成型技術の導入や技術開発などによって、プラスチック製容器製造事業の売上が60%を占めるようになった。そのことは、今後の経営に、どのような課題を生み出す可能性があると考えられるか。 中小企業診断士として、100字以内で述べよ。

問題文では課題を答えるように指定されています。詳細な状況は与件文を確認しないとわからないですが、ここでは、「 プラスチック製容器製造事業の売上が60%を占めるようになった」に着目して問題点、課題、解決策について考えてみます。

「プラスチック製容器製造事業の売上が60%を占めるようになった」 の事実から推測する管理人の思考回路はこんな感じです(この思考回路自体は過去問を沢山解いているとだれでもできるようになりますのでここではあまり気にしないでください)。

①プラ容器製造の一事業だけで会社全体の60%の売上を占めている
②この事業がこけた時や環境変化が生じた時、経営危機に陥る可能性がある
③何とかして経営リスクを下げる、あるいは分散化する必要がありそう
④他事業を強化して、プラ容器製造の売上依存度を下げればよいのではないか

さて、①~④について問題点、課題、解決策を切り分けていきたいと思います。

問題点は①、②。課題は③。解決策は④と捉えます。

具体的に書くと以下のとおりになります。

問題点…1つの事業に売上を依存しており(①)、経営リスクが大きいこと(②)
課題…経営リスクを下げる、分散化すること(③)
解決策…他事業を強化すること(④)

なんとなくわかっていただけたでしょうか。よくある失敗↓をご覧いただければ、さらに理解が深まると思います。

よくある失敗

失敗1)課題を記述するはずなのに問題点を書いている

一番やりがちな失敗です。

課題は「ギャップを埋めるためにやるべきこと」。問題点は「目標と現状のギャップ(状況、事実) 」です。

1つの事業に売上を依存していて、経営リスクが大きいことは、「今起きている状況、事実」です。「ギャップを埋めるためにやるべきこと」ではないです。

今起きている状況、事実を踏まえて「経営リスクを分散化する」これこそがやるべきこと(=課題)になります。

失敗2)課題を求められているのに解決策だけを複数羅列してしまう

解決策は「ギャップを解消するための具体的な手法」です。

つまり、上記過去問では「リスク分散化」という課題を解決するための一つの手法が「他事業強化」ということです。

経営リスクが大きいという事実(=問題点)に対して、「他事業強化」を課題として提示するには、ロジックが一つ抜けている感じがしませんか。

「経営リスクが大きい(=問題点)から、これを分散化して(=課題)、分散化するための一手法として他事業強化を図る(=具体的な手法)」これが一連のロジックになります。

誤解を恐れず言えば、課題は≒目的と捉えてもいいかもしれません。慣れないうちは、課題は問題点の裏返しを書いていくのがいいと思います。

採点者視点に立つと、問題文で目的(≒課題)を聞いているのに手段(≒解決策)ばかり羅列されたら点数を入れたくない気持ちになりそうですよね。

課題を100字で書く

ここまでなんとなく理解できても、こんな疑問がわきませんか?

Aさん
Aさん

課題を書けと言われて「経営リスクを分散化すること」だと10文字ちょっとで終わってしまうじゃないか。 問題文では100字だぞ(怒)

このように課題単体で書くと短文になるにも関わらず、ある程度の文字数の記述が求められる場合、私は以下のように対処していました。

ひな型

「問題点」があるため、「解決策」をすることで「課題」

平成27年度事例1の第3問に当てはめるとこうなります↓

課題は、一つの事業に売上依存していることで経営リスクが大きくなっているため、他事業を強化することにより経営リスクの分散化を図ること。(句読点含め66文字)

過去問では100字で解答となっているため、上記解答例では少し足りませんが、その場合は課題を複数列挙します。何れにせよ上記ひな型を覚えて、練習を重ねるといろいろと応用できます。

まとめ

「問題点」「課題」「解決策」の切り分けができると、問題文の要求を外さない解答ができるようになるとともに、それぞれの区分で頭を整理することができるので、因果関係を明確化した文章が書けるようになります。

「問題点(problem)」「課題(task)」「解決策(solution)」 でPTSフレームワーク(©one step)と言ってもいいかもしれません。※すいません適当です。

また、過去問演習を通じてこの訓練を行うと、中小企業診断士試験の受験勉強を効率よく進められるだけでなく、会社の業務にも良い効果が出ると思います。

この切り分け訓練をしてから、会社にある文書を読んでみてください。すると、 課題と言っているのに問題しか書いてなかったり、突然解決策のアイディアが羅列されていたりする文章が意外と多いことに気が付くと思います。 そしてそれを発見したら是非手直ししてみましょう(というより、気持ち悪くて手直しせずにはいられません)。

手直しした後の文書で打ち合わせをすると、メンバー間で問題点、課題が共有化されたうえで、解決策を討議できるので、腹落ち感が出て解決策の実行力が向上します。実際、私もこのような体験をしましたし、上司や同僚から意外と高評価を受けますので是非実践してみてください。

今回はここまでにします。

次回は、7月以降の勉強の進め方について書きたいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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