【中小企業診断士の独学勉強法】二次筆記試験編③(事例1~3対策編)

診断士二次試験

今回は、H30年4月から6月末まで取り組んだ事例1~3対策について書きたいと思います。

本題の対策に入る前に一つだけお話を。

前々回書きましたとおり、事例1~3は過去問の答えが公表されていないため何を正解として勉強してよいかわからず、対策が非常に難しいです。ましてや独学の場合は、誰かから直接ヒントを教えてもらう機会もないため、なおさら対策が困難になります。

こういった状況もあり、中小企業診断士試験では他の試験には珍しく、有志で勉強サークル??なるものを立ち上げ、問題を解いた後にみんなで答え合わせをして解答のポイントを共有する場を設けることがあります。この場に参加するには、必ずしも予備校に通わなくとも、ネット上での出会いを通じて勉強会に参加ということも可能です。

ここで一つ疑問が出ると思います。

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有志勉強会には参加したほうがいいの??

結論からいうと「不要」だと思います(個人的見解)。

私の場合は、仕事及び家庭の都合により予備校に通う時間もなかったことから、有志での勉強会についても参加しません(できません)でした。合格後話を聞くとこういった勉強会に参加して合格を勝ち取ったという方とも何人かお会いしたので、効果はあるのだと思います(10名程度と話して1,2名くらいでしょうか)。しかし、私はもし時間があったとしても勉強会に参加しなかったと思います。理由は2点です。

理由1:受験勉強中の人(=まだ合格していない人)同士が集まっても、必ずしも試験作成者が求める答えを正しく導きだせるとは思えなかったから。

理由2:勉強会を開催するためのメンバー同士の開催日調整や場所確保に時間を取られるから。

有志で勉強することでモチベーションが高まる、予備校に通う時間はないけど一人で勉強するのは寂しすぎるからだれか仲間が欲しいといった、上記2つの理由を覆すくらいの動機があるのであれば参加してもいいかもしれません。

但し、「合格した後に強い絆を持った診断士仲間が作れる!」といった合格後を想定した理由で勉強会に参加することはやめた方がいいと思います。それは合格後にやればいいことですし、何よりも診断士は(業務独占がないため)様々な勉強会の開催や実務補習がありますので合格後でも診断士同士のつながりを作ることは十分に可能です。

もし、勉強サークル参加を検討している方がいらしたら、一つの意見として参考にしてみてください。

では、本題に戻って、このような答えが見えない事例1~3をどのように勉強したのかご紹介していきたいと思います。

まずはテキストです。

テキスト(問題集)

①ふぞろいな答案分析(2008~2010)
②ふぞろいな答案分析(2011~2013)
③ふぞろいな答案分析(2014~2015)
④ふぞろいな合格答案9(2016)
⑤ふぞろいな合格答案10(2017)
⑥ふぞろいな合格答案11(2018)
⑦2次試験合格者の頭の中にあった全知識

⑦は電車の中では書き物ができないので時間つぶしに読んでいたということで、机に座っての勉強となると①~⑥のみの使用になります。

なお、①と④は絶版となっていたことからメルカリを使い購入しました。特に①は1万円近くしたので大きな出費でした。現在は、「ふぞろいな合格答案 10年データブック」が販売されていますのでそちらの購入でよいかと思います。

勉強経過

事例1~3の勉強は、事例4集中対策編でご紹介したような基礎固めから応用編といったようなステップアップ型の勉強法は採用せず、ひたすらに過去問を解くという作業に徹しました。

従って、H30年4月~6月をさらに細分化して勉強計画を立てるということはしていません。あえて計画というならば、最初の1か月程度は全10年分の過去問のうち、直近年度を除く過去3年分(H26,27,28)を繰り返し勉強したということくらいでしょうか。なお、直近年度の過去問は試験直前に全く見たことのない問題を解くために、あえて見ない、解かないようにしていました。

この3か月間では、過去問9年分×事例1~3×2~3回繰り返し=54~81事例分の演習を行いました。

ここからは過去問を使って具体的にどのように勉強するのかを書いていきたいと思います。

過去問を使った勉強法

以下の手順で過去問をひたすら繰り返します。なお、事例毎に過去問3年分を1セットにして解くと、事例毎の傾向が掴めて学習効率が高まると思います。具体例でいうと、下記手順で事例1の過去問をH28→H27→H26と行い、その後事例2の過去問をH28→H27→H26と解いていくイメージです。

手順1:過去問と解答用紙を準備する。
手順2:時間を測って過去問を解く。
手順3:ふぞろいの「答案分析」編を使ってキーワード採点をする。
手順4:「答案分析」編の各事例最後に掲載されているふぞろい流ベスト答案を写経する。

具体的に説明していきます。

手順1:過去問と解答用紙を準備する。

過去問を解く際は、本番を想定して解くため、必ず問題用紙と解答用紙を印刷しましょう。これらは各予備校のHPからダウンロードできます。

どの予備校のものを使っても構いませんが、私はAASさんのページからダウンロードさせていただいていました。こちらのページは年度別、事例別に問題用紙と回答用紙が一覧表示されており、非常に使いやすい作りとなっています。

また、2アップで印刷するといった紙をケチることはせず、A4で1アップ 両面で印刷することをおススメします。特に解答用紙は絶対にA4の1アップです。本番の解答用紙もA4様式であり、2アップにしてしまうと解答欄が小さくなりすぎてしまいます。

手順2:時間を測って過去問を解く。

手順1が終わりましたら、過去問を解いていきます。

解き方は以下の2点を意識するとよいと思います。
※これ以降で記載する用語で、「与件文」とは事例が記載されている長文のこと、「問題文」とは与件文のあとに4~5問程度で構成される設問文のことを指して使います。

ポイント1:最初に問題文を読む
ポイント2:与件文にSWOT目印をつける
ポイント3:必ず「80分」で解く

ポイント1,2については、予備校に通っている人からすると当たり前のことかもしれませんが、私の場合は二次試験数か月前にやっとたどり着いた方法です。独学の方は、勉強開始当初からこれを意識して解くと効率が良いと思います。では、ポイントを詳しく解説します。

ポイント1:最初に問題文を読む

問題文を読むときには、「問題の制約条件」と「問題が何を求めているか」に目印をつけて読むようにします。

・問題の制約条件に目印をつける

「問題の制約条件」に目印をつけるとは、例えば問題文で「スポーツ用品事業において…」と書かれているのに、福祉事業について解答しないように 「スポーツ用品事業において…」の部分に線を引くといったことです。

制約条件を外した回答は大きく減点されます(ゼロ点も可能性もあります)。問題によっては明らかに制約条件を使って受験生を引っ掛けにきているものもあります。

与件文も読まないうちに制約条件なんてわからないじゃないかと言われそうですが、最初は適当でいいです。これが制約条件かなぁ程度で線を引っ張ってみることが重要です。過去問を解き続けるうち慣れますので、とりあえず実行してみてください。

・問題が何を求めているかに目印をつける

「問題が何を求めているか」に目印をつけるとは、問題文で問われていることが、「理由」なのか、「課題」なのか、「問題点」なのか、といったことを明確にすることです。

「理由」を問われているのに「問題点」を答えていたり、「課題」を問われているのに「問題点」を答えていたりすると当然減点対象です。慣れないうちは、「問題点」「課題」「解決策」を書き分けることは難しく、個人的にはここが事例1~3攻略の最大のポイントと思われるので、ここについては、次回詳しく解説したいと思います。

ポイント2:与件文にSWOT目印をつける

SWOTとはS(強み)、W(弱み)、O(機会)、T(脅威)のことです。これらは問題を答えるうえで重要なポイントになります。弱みは「問題点」や「課題」を答えるヒントになりますし、強みや機会は「解決策」を検討するヒントになります。

そのため、SWOTは4つを区別して目印をつける必要があります。二次試験では蛍光ペンの持ち込みが可能ですのでそれを用いてもよいですし、私の場合は蛍光ペンを持ちかえる手間が面倒でしたのでシャープペン一本で「強み」は+、「弱み」は-、「機会」は☆、「脅威」は✔で目印をつけていました。

なお、シャープペン一本で勝負するタイプは超少数派のようで模擬試験や二次試験で二度見されたことが数回ありました(こいつこれでいくの?って感じの視線を受けました)。

この点はどちらでもよいかと思いますが、目印は後で消したりすることがありますでの、蛍光ペンを使う場合は消せるタイプを使った方がよいと思います。

ポイント3: 必ず「80分」で解く

二次試験は時間との勝負です。「問題文、与件文を読み」→「解答の構成を考えて」→「解答を書く」という作業を80分で行うことは想像以上に骨が折れます。

80分で解く中で、自分は何に時間を要しているか、どこを工夫すれば時間短縮が図れるか、を事前に想定するためにも必ず時間を測って解くようにしましょう。

手順3:ふぞろいの「答案分析」編を使ってキーワード採点をする。

過去問を解き終えたら「ふぞろい」を使って答え合わせをします。

再三繰り返して恐縮ですが、二次試験の採点方法、模範解答は公表されていませんので何が正解かはわかりません。

そのため、なんらかの方法で答え合わせをする必要がありますが、私の場合は過去の合格者、不合格者の答案を集めて分析した「ふぞろい」を使いました。

予備校に通われている方は予備校が持つ採点ノウハウによる答え合わせは可能でしょうが、独学者には答えを知るすべがありませんので、過去の答案を分析した「ふぞろい」は非常に強い味方になります。というよりも「ふぞろい」以外選択肢がないのではないでしょうか。

ちなみに、「ふぞろい」は、合格者が多く答えているキーワード順に点数を重みづけした「答案分析編」と分析の基となる受験生の答案を掲載した「再現答案編」から構成されます(※ 「ふぞろいな合格答案 10年データブック」 は答案分析編を集めたものですので前者だけ掲載されたものになります)。

このうち、答え合わせをする際は「答案分析編」を使って採点していきます。キーワードが拾えているかという点でチェックし、合格者と自分で与件文の目の付け所に違いがないかを確認します。

キーワード採点で勉強していくことについては、解答の論理構成や言い回しを無視した採点ということでネット上であまり好ましくないとの意見もあるようですが、私は次の三点の理由からキーワード採点勉強法をおススメします。

理由1:採点者は相当の人数がいると想定され、キーワード採点にならざるを得ないと思われるから(二次試験受験生約4,000名×事例4つ=16,000枚の答案用紙があり、1,2名の採点者で対応することは非現実的であり、ある程度のルール決め(≒キーワード採点)が必要と思われる)。

理由2:キーワード採点をすることにより、勉強中に自分の点数が見える化できるため、勉強の進捗を確認でき、点数が上がった場合自信をつけることができるから。

理由3:採点方法や模範解答が公表されていない以上、これが正解という論理構成を特定することが難しいから。

理由1は諸説あり、推測にすぎないため正直どうでも良いですが、個人的にキーワード採点の重要性は理由2にあると思います。

独学者は、周りにだれも相談する人がいない中、点数でもって勉強の進捗確認できることは非常に大きいのです。理由3の論理構成については、全く考慮しないということでなく、ある程度解答に慣れてきた段階で別に対策しましたので、別記事でご紹介したいと思います。

手順4:「答案分析」編の各事例最後に掲載されているふぞろい流ベスト答案を写経する。

キーワード採点が終わったらふぞろい流ベスト答案を写経します。

「ふぞろい」には各事例の終わりにふぞろい基準で満点近くと思われる模範答案が掲載されています。これを写経することで、おそらく合格基準に達しているであろう答案の書き方を覚えることができます。

また、このベスト答案はおそらくふぞろい作者が熟慮の末、一人の方の回答を選定し(もしかすると改編??)ていると思われるため、設問間の回答の一貫性、いわゆるストーリーについても学ぶことができます。

正直、写経は面倒くさいですが、このプロセスをさぼると自分の書いた文章を振り返る機会がなくなってしまいますので必ず実施するようにしましょう。

まとめ

事例1~3はとにかく過去問を使った演習が重要です。どのようなポイントが問われているのか、問われている部分が与件文にはどのように記載されることが多いのか、これらは何度も自分の頭で考えて問題を解いて覚えるしかないと思います。

また、同じ問題を1回だけ解くのではなく、是非何回も解くことをおススメします。記述式という特性上、よっぽど暗記力に優れている人でない限り、前に書いた解答と全く同じ回答は書けないはずです。毎回気づきがあり、自分の記載を振り返る機会が得られます。

なお、私が手順1~4の勉強を行う場合の勉強サイクルは以下のとおりでした。
①朝起きて事例を80分測って解く。
②家を出るまでに手順3を終える。
③昼休みに手順4を実施する(終わらなかったら仕事終わりにちょっとやる)。

これをやるために、ふぞろいは重いですがいつもカバンの中に忍ばせていました。今は10年データブックなのでさらに重くなるかもしれませんが、読み物としても工夫が沢山ありすごくいい本なので購入をお勧めします。

事例1〜3は勉強の進捗が確認し辛く心が折れそうになりますが、今書いた勉強法を参考に、とにかく過去問と向き合いコツコツやるしかないです。確実に実力は上がっているので信じて勉強し続けましょう。

今回はここまでです。

次回は、事例1~3攻略のポイントと書きました 「問題点」「課題」「解決策」 について解説したいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

コメント

  1. はるか より:

    はじめまして。
    どの事例の勉強方法もものすごく具体的で
    とても参考になります。
    事例Ⅳが特に参考になりました。
    ありがとうございます。
    過去問を両面印刷するべきかとか、どのサイトにもなくて結構迷っていたので
    ありがたいです。
    このサイトに偶然たどり着けてよかったです。
    これから他の記事も読ませてもらいます。

    • one stepone step より:

      はるか様
      コメントありがとうございます。自分なりに知りたかったことを書いたつもりですが、ほかにこんなことを疑問に思ってるなどありましたら私のわかる範囲で記事を書きたいと思いますので、どしどしコメント下さい。
      勉強頑張ってください!

  2. はるか より:

    お言葉に甘えて、一つ教えて頂けますでしょうか。
    今使っているプリンタが両面印刷ができないので、
    両面印刷機能のあるものを買おうと思っているのですが
    コピー機能をつけるかどうか迷っています。
    コピー機能があるとサイズが大きくなるので置き場所に困ります。
    今「30日完成 事例Ⅳ合格点突破計算問題集」
    というのをやっているのですが、何度も同じ問題を解きたいのでコピーしたくなってきました。
    one step様は、どんなプリンタをお使いだったか教えて頂けますでしょうか。
    問題集のコピーはしましたか?

    • one stepone step より:

      はるか様
      コメントありがとうございます。回答します。

      問題集自体のコピーはしませんでした。ただし、過去問除きます。

      プリンタはコピー機能付きのものを使っていました(というか、もともと家にあった至って普通の1万くらいのもの。品番は出先なので失念。ご勘弁を)。
      ただし、問題演習用の解答用紙は自宅でコピーはせずに、原紙のみ印刷し、それを数部コンビニで両面コピー→ホチキス留めして使っていました。
      というわけで、コピー機能はあると便利ですが、必ず必要というわけではないと思います。

  3. はるか より:

    解答用紙をホチキスで止めるという発想はなかったです。
    まとめて見返すのに便利ですね。
    参考になりました。
    ありがとうございます!

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