【中小企業診断士の独学勉強法】二次筆記試験編②(事例Ⅳ集中対策)

診断士二次試験

今回は、H30年1月中旬から3月末までの約2か月半で取り組んだ事例Ⅳの集中対策について書きたいと思います。

中小企業診断士の2次試験において、事例Ⅳは計算問題が大半であるため、全事例の中で唯一過去問の答えがわかる(※一部記述除く)科目です。従って、他の事例に比べて勉強しやすく得点源にもなりやすい科目になります(逆に、全く対策しないと全然解けずに撃沈ということもあり得ます)。

また、2次試験の中ではもっとも暗記要素が少なく、一度理解すると忘れにくい科目であることから最初に勉強するにはうってつけの科目と言えます。

まずは使用したテキスト(問題集)です。

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テキスト(問題集)

1次試験の財務・会計がある程度仕上がっている状態で事例Ⅳの勉強を開始していれば、テキスト(教科書のような読み物)は必要ないです。なお、TACの問題集は1次試験からの継続利用になります。

  • 集中特訓 財務・会計 計算問題集(TAC)
  • 事例Ⅳの全知識&全ノウハウ(同友館)
  • 意思決定会計講義ノート

one stepの勉強経過

TAC問題集で1次試験知識を思い出す【最初の2週間】

事例Ⅳと1次試験の「財務・会計」は問われ方こそ記述式とマークシートで違いますが、学習範囲や回答プロセスは基本的に同じです。

そのため、まずは1次試験で使用した集中特訓 財務・会計 計算問題集(TAC)を使い、知識の思い出しを兼ねて勉強します。具体的には、問題集の「第1編個別論点編」を2周、その後「第2編事例計算演習編」を2周しました。

なお、事例Ⅳの勉強開始段階では、「第1編個別論点編」は完璧にできている状態、「第2編事例計算演習編」 は全く手を付けていない状態で勉強を開始しました。1次試験のTACの問題集を使った勉強法はこちらを参照してください。

具体的な問題集の使い方は以下のとおりです。

1次知識を思い出す

まずは、電卓を使いながら個別論点編を1周解きます。1周目の目的は、1次試験の知識と解き方を思い出すことです。なお、2次試験は1次試験と異なり電卓の持ち込みが可能ですので、電卓片手にサクサク解いていきましょう。

私の場合は、1次試験終了後から約5か月の空白期間がありましたが、1次試験時に何度も繰り返し勉強していたので全くできないという事態にはなりませんでした。そのくらい財務・会計は忘れにくい知識といえるでしょう。

もう一周して個別論点編を完璧にする

念のために個別論点編をもう1周します。2周目の目的は 、集中特訓 財務・会計 計算問題集(TAC)の「第1編個別論点編」を完璧に仕上げることです。方法は、1周目と同様にすべての問題を解きます(1周目で正解、不正解に関わらず)。

おそらく1周目で解説を読みながら丁寧に解いていれば、9割以上正解できるはずです。この時点で9割以上正解できないようであれば、この後に取り組む計算演習編や過去問に取り組むには早いです。その場合は、個別論点編をほぼ完璧に仕上がるまで数周繰り返すと良いです。

第2編事例計算演習編の1周目

ここまで終えた時点で、はじめて第2編の事例Ⅳを想定した練習問題に挑戦します。おそらく全6問中、最初の数問は順調に解けると思いますが、最後の数問で躓くと思います(私はそうでした)。はじめは躓いてもいいので、答えを見ながら解き、記述問題は答えを写経してみてください。

ちなみに、躓くポイントは「20~40文字程度の短文で要点をまとめる記述問題」と「DCF法」ではないかと思います。

前者については、「結論を導きだした根拠数値の記載(原因)+結論」を意識して写経することがポイントです。

後者については、事例Ⅳを苦手に感じる方がはじめにぶつかる壁ではないかと思います。そして、DCF法の存在によりこの科目が苦手になっている方も多いのではないかと思います。したがって、この時点で解法イメージを頭に入れておき、事例Ⅳに対する嫌なイメージを払拭していおくことが重要です。

なお、DCF法については、第2編事例計算演習編の第5問は非常に良くできた問題で何度も解く価値がある問題だと思います。本当は細かく問題を解説したいのですが、著作権の関係でどこまで載せてよいかわからないため、解説の掲載は断念しました。

第2編事例計算演習編の2周目

2周目は答えを見ずに解きます。2周目でも記述式問題やDCF法については完璧にできる状態までは仕上げられないと思いますが、この時期の事例Ⅳの勉強で重要なのは、短期間に同じ問題を解き、思考プロセス、記述方法を頭に叩き込むことだと思います。なのでなんとなく解き方は分かるなぁ程度まで仕上げられればOKです。

このような感じで ①集中特訓 財務・会計 計算問題集(TAC)を使いました。

ついでにおまけ…

この問題集だけで事例Ⅳ対策は不十分です。 位置づけとしては、1次試験と2次試験事例Ⅳの「橋渡し役」(財務・会計の1.5次試験対策問題集??)といった感じでしょうか。この問題集は、1次試験では他の受験生と「財務・会計」で差別化する強力な武器として、2次試験対策としては事例Ⅳ対策に入る前の基礎体力作りに使う本だと思います。

2月:過去問の論点別演習

上記までの勉強で、事例Ⅳを解く基礎知識は身に着けたといってもいいと思います。ここからは基礎知識を活用するプロセスに入ります。

ここで使うのが②事例Ⅳの全知識&全ノウハウ(同友館)になります。

名前こそ問題集ぽくないですが、中身は論点別に過去問をまとめた問題集になります。この本は、論点別の解き方テクニックを解説する「全知識」編と論点別の過去問集とその答えと解説をする「ノウハウ」編で構成されます。論点別に過去問をまとめたと言えば一次試験で大活躍した過去問マスターと同じ作りです。これで一気に事例Ⅳの知識定着を図っていきます。

私は1月まるごとこの問題集に時間を使いました。そのくらいの時間は使う価値がある問題集だと思います。この期間で3周から4周は回したでしょうか。

使い方のポイントは以下の3点です。

ポイント1:「全知識」編はさらっと流し読みする。
ポイント2:「ノウハウ」編は必ずウェブサイトから解答用紙をダウンロードして問題を解く。
ポイント3:第3部でまとめられている「その他のノウハウ」編は無視する。

ポイント1:「全知識」編はさらっと流し読みする

「全知識」編は、問題を解くうえでの様々なテクニックが読み物としてまとまっているため、最初はマーカーを引いてテクニックを完全に理解してから問題に行こう!なんて考えるのですが、それはやめましょう。

そんなことをせずに「全知識」編はさらっと流し読みし、こんなことが回答に求められているんだなぁ~。ふふ~ん。程度にとどめてさっさと「ノウハウ」編に突入したほうがよいと思います。

「全知識」編で解説しているテクニックは、概ね「ノウハウ」編の問題の解説で網羅されています。したがって、「ノウハウ」編で実際に問題を解いてからテクニックを確認できるため、あらかじめ「全知識」編を完全理解していなくても問題ないです。

ポイント2:「ノウハウ」編は必ずウェブサイトから解答用紙をダウンロードして問題を解く。

この本を使う目的は、「ノウハウ」編で掲載されている過去問を使い、解き方、答案記述方法を理解することです。そのためにはできるだけ本番に近い形で演習を行う必要があります。

「ノウハウ」編については、解答用紙がダウンロードできますので必ず印刷して実際に鉛筆またはシャープペンで問題を解きましょう。

③集中特訓 財務・会計 計算問題集(TAC)ですでに記述式は20~40文字を体験している状態ですが、この時点では、マス目に書いて練習ということはしていないはずです。解答用紙のマス目を前にして自分なりの答えをつらつらと書いてみると、意外と文字数通りに書けないことに気がつくはずです。

はじめは、俺ってアホなのか??というくらい書けないかもしれませんが、マス目に模範解答を写すところから始め、これを2回、3回と繰り返すうちに書けるようになりますので安心してください。

事例Ⅳの20~40文字で記述する問題の記述方法は極めてシンプルで、テンプレート的に回答できます。しかし、シンプルだと言って侮ってはいけません。短い文字数で「〇〇のため(原因)、△△である(結果)」と書く方法は、この後勉強する事例Ⅰ~Ⅲの200文字前後の記述にも共通するため、この段階で身に着けておくと今後が非常に楽になります。

ちなみに、本番に近い形で解くと書くと、時間を測って解くという感じを想起させますが、この時点では解答方法を本番に近い形で練習することをメインにするため、時間計測は不要です。

ポイント3:第3部でまとめられている「その他のノウハウ」編は無視する。

これはおまけ的なポイントになります。

この本では「ノウハウ」編の最後に「ぞの他のノウハウ」編として与件文の読み方、チェックポイント等が丁寧に詳細に書いてあります。

これを解説していること自体を否定するものではありませんが、個人的には事例4は与件文の読解に時間を掛けすぎると計算問題を解く時間を十分に確保できず、大失敗する可能性があると思っています。

特に、勉強を開始したこの時期に与件文の詳細な読解、ニュアンスの理解等の方法について頭に入れてしまうと、与件文の表現に頭がいってしまい、計算問題を正しく解く作業が疎かになってしまう恐れがあると思います。

そのため、この時期に「その他のノウハウ」編を読む必要はないと思います。実際に私は読みませんでしたし、一通り勉強し終えた10月頃に一度目を通しましたが、この部分は不要だなと思い途中で読むのをやめました(というわけで、結局最後まで無視)。

3月:応用編(計算力向上)

恐らく、前記までの勉強を終えた段階で事例Ⅳの過去問を解く力はついていると思いますので、過去問を時間を測って解く練習に行って問題ないと思います。しかし、私の場合は、事例Ⅳを得意科目にして得点源にしたいと考えていたので、ネット上で評判の③意思決定会計講義ノートにも取り組むことにしました。

ちなみにこの本がどんなものかを解説しておくと、2001年初版の古い本で、公認会計士試験向けに作られたもののようです。

公認会計士試験向けと聞くとややオーバースペックのような気がしますが、この本を勉強して、事例Ⅳの過去問を10年分解いてみると、この本から論点を探して中小企業診断士試験を作っているのでは??という疑問が湧くくらい論点に網羅性があります。もちろん、公認会計士向けというだけあって計算の複雑さは中小企業診断士の過去問とは比較になりません。

従って、この本については、論点を理解するという目的の他にも、細かい計算がしっかりできるようになる目的で使うとよいと思います。

この本に掲載されている問題の計算は、数値の桁数が大きいうえに小数点以下の計算が頻発し、また計算に必要な条件も問題文中で複雑に絡み合った形で表現されています。

中小企業診断士試験は、80分という短い試験時間と会計に特化した試験ではないため、そこまで複雑な計算は求められませんが、この問題集を体験しておくと、過去問が簡単に見えてきます。しかも複雑な計算でも自分の力で正しく答えが算出できるようになると自信にもなりますし、計算過程で間違いやすいポイントもわかるようになるため、計算ミスが減ります。

ちなみに私がこの本を使う際も上記を意識することとし、一問当たり何分で解くという意識はしていませんでした。問題にもよると思いますが、この本の一つの大問を解くのに一時間程度かかるものもあります。しかし、時間がかかってもよいので自分の頭で考え、正しく計算する力を身に着けることがこの本を使う意味するところだと思います。

約1か月をこの本の勉強に投じましたが、2周するのが限界でした。しかも2周しても最後まで正しく答えが出せない問題が3~4割はありました。しかし、2周終えた時、確実に計算力がついたという自信を得ました。

事例Ⅳ集中対策まとめ

2次筆記試験の勉強を開始して早々、2か月半をすべて事例Ⅳ対策に投じたわけですが、振り返るとこの時点で事例Ⅳだけに関しては合格レベルに達していたのではないかと思います。

勉強方法も3つの問題集を活用し、「1次知識復習」→「過去問を使った論点別演習」→「複雑な計算をこなす応用演習」と着実にステップアップしたことは良かったのではないかと思っています。もし、基礎演習を疎かにして、はじめから意思決定会計講義ノートに手を出していたら恐らく挫折していたことでしょう。

必ずしもこのやり方が正しいとは思いませんが、事例Ⅳを苦手としている方は1次試験の復習から始めるこの勉強方法を参考にしていただけたら嬉しいです。

今回はここまでです。

次回は、4月から6月の3か月間取り組んだ事例Ⅰ~Ⅲの勉強法について書きたいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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