今回は、1次試験計7科目の勉強順について書いていきたいと思います。
具体的な内容に入る前に、中小企業診断士1次試験は合格基準がやや複雑なので、まずは中小企業診断協会HP で一次試験の合格基準を確認し、私のおススメする受験パターンについてご紹介したいと思います。
合格基準
⑴ 合格基準(当該年度に受験した科目のみが対象)
① 第1次試験の合格基準は、総点数の60%以上であって、かつ1科目でも満点の40%未満のないことを基準とし、試験委員会が相当と認めた得点比率とします。
② 科目合格基準は、満点の60%を基準として、試験委員会が相当と認めた得点比率とします。
~中略~
⑶ 科目合格の有効期間
科目合格の場合は、翌年度と翌々年度の第1次試験を受験する際、申請により当該科目が免除されます。 3年間ですべての科目に合格すれば、第1次試験合格となります。
中小企業診断協会HPより抜粋
色々書いてありますが、要は以下の2パターンの何れかで合格すればよいということです。
- 複数年かけて科目合格を積み重ねて合格する
- 1年で7科目を一気に受けて合格する
1年で7科目合格を目指す!
よほどのことがない限り一年で7科目を合格することをおススメします。理由は、科目毎の試験の難易度が年によって差があるからです。
1年で7科目を合格するといっても、科目合格を積み重ねる場合と異なり平均で60点(合計420点)を取ればOKです。中小企業診断士の1次試験は科目別の難易度が年によって差が生じることで有名です。
試験を受けるまでは得意なはずだった科目が60点に到達しない、逆に苦手のはずだった科目がたまたま簡単な年に当たり70点以上を確保したなんてことはザラです。弁護士が経営法務を無勉強で受けたら40点の足切りにあったなんてことも聞くくらいですし。
例えば、1年目に3科目合格、2年目に3科目合格した、あとは「経済学・経済政策」に受かれば一次試験は終了!となった時に、たまたまその年の 「経済学・経済政策」 が難しく不合格となった場合、1年目の3科目合格はリセットされ、受け直しとなってしまいます。これは不幸です。でもこれが現実に起きてしまうのが中小企業診断士1次試験の特徴です。
one stepの1次試験結果からみる7科目受験のススメ
参考までに私のH29年度一次試験の結果は以下のとおりです。
経済学・経済政策:64点
財務・会計:88点
企業経営理論:62点
運営管理:58点
経営法務:48点
経営情報システム:72点
中小企業経営・中小企業政策 :76点
すべての科目を網羅的に勉強し、過去問ベースで試験範囲全てをカバーしたと自信を持って試験に臨んだにも関わらず、科目ごとの点数にばらつきが生じました。科目によっては60点を割ったものもありました。特に48点の経営法務は、自己採点時に前半戦の問題で間違いが続出し、採点中手が震えました。
しかし、7科目合計点では468点(合格ライン420点)で余裕の合格です。もし、科目免除が切れる年度に運営管理、経営法務だけ残っていたとしたら…恐らく次の年度に診断士試験を受けるのをあきらめてしまうでしょう。
重要なので、もう一度だけ言わせてください!
1科目が悪くてもほかの科目でカバーして平均6割を確保すれば受かる試験です。是非1年で全科目を受験し、1次試験合格を目指すようにしてください。
受験科目の勉強順
では、本題に戻ります。ここからは、1年間で合格することを前提とした受験科目の勉強順のご紹介です。
結論を先に書きます。
①経済学・経営政策 → ②財務・会計 → ③企業経営理論 → ④運営管理 → ⑤経営情報システム → ⑥経営法務 → ⑦中小企業経営・中小企業政策
①経済学・経営政策と②財務・会計、③企業経営理論と④運営管理、⑤経営情報システムと⑥経営法務の順番は逆でもよいと思いますが、その他の勉強順の変更は極力しない方がよいかと思います。
この勉強順を推奨する理由は、考え方を理解して解く科目から暗記して解く科目の順に流すことで、知識の忘却を最小限に抑えることができるためです。
一次試験は、記憶力との闘い
中小企業診断士試験は、受験生の年齢が高いため、いかに勉強したことを忘れないでおけるかが重要なポイントになります。
特徴的な例でいうと、「中小企業経営・中小企業政策」は試験日当日に記憶量maxにしておけば翌日すべて忘れてもOKです。実際に2年目に二次試験を受けたときにはすべて忘れ去っておりましたが、全く問題ありませんでした。要は、こういった科目は試験当日にできるだけ近い期間に集中的に勉強することが重要になります。
企業経営理論に過度にハマらないこと
その他、補足するとすれば、企業経営理論を先に勉強しないことおよび勉強しすぎないことでしょうか。
中小企業診断士を代表する科目であり、この科目を勉強したいから中小企業診断士試験を受験するという方もいるかと思います。しかしその気持ちをグッと堪えてください。私は以下の2点の理由から最初に勉強する科目としておススメしません。
理由1:(意外と)暗記する部分が多い科目である。
企業経営理論は一見面白いのですが、こと試験で点数を取るという観点では暗記が必要な部分が多いです。
勉強する内容には企業分析で使うためのフレームワーク等も沢山でてきて面白いのですが、1次試験ではフレームワーク自体を覚えているかを問われる問題も多く、それに回答するためには覚えてないといけません。事例をフレームにあてはめて答えるわけではないので、暗記以外の何物でもないです。
暗記科目はできるだけ後回しが鉄則です。
理由2:たくさん勉強しても高得点を取るのが難しい。
企業経営理論のもう一つの特徴が国語の試験であるということです。
経済学・経営政策や財務・会計、運営管理は、計算問題が含まれます。1次試験の計算問題は公式を覚えていれば解ける問題がほとんどなので、得点源にしやすいのですが、企業経営理論に計算問題は出ません。
また、なぜかこの科目だけ回答の選択肢の文章が異常に長く引っ掛け要素満載です(えぇ、これが正解なの?ってものも多いです)。従って、必要な知識のインプットを前提にしつつ、文章を正確に読み解いていく作業が必要になりますので高得点が取りにくいです。
1次試験科目別マッピング
縦軸に科目特性、横軸に勉強量を取り、1次試験の科目別の相対評価でマッピングしてみました。あくまでone stepの学習経験+個人的な感度で行っていますが、概ね妥当なのではと思っています。学習の参考にしてみてください。
勉強期間(学習計画)
1次試験学習期間を書きます。
まず、はじめに私の例を書きます。 結構タイトです。しかし、用意したテキストを理解し問題集をほぼ完璧な状態に仕上げることを前提にすると9か月程度の勉強期間は必要になるはずです。
①経済学・経済政策:11月~12月中旬
②財務・会計:12月中旬~1月末
③企業経営理論:2月
④運営管理: 3月
①~④の復習期間:4月
⑤経営情報システム: 5月上旬~5月下旬
⑥経営法務: 5月下旬~6月上旬
①~⑥の復習期間:6月
⑦中小企業経営・中小企業政策 :6月下旬~7月上旬
総復習:7月上旬~テストまで
主要3科目は1か月半~2か月程度の勉強が必要
上記スケジュールのとおり、1科目にかける勉強期間は復習も含めて3週間から2か月程度です。
中小企業診断士試験の主要3科目(財務・会計、企業経営理論、運営管理)は1か月半から2か月程度はみておいたほうが無難です。これらの科目はテキストや問題集も分厚いので時間がかかりますし、2次試験を見据えた場合、腹落ちするまで勉強(理解)しておくことが重要です。
暗記3兄弟は直前期に1科目あたり3週間程度の勉強で一気に詰め込む
経営情報システム、経営法務、中小企業経営・中小企業政策の3科目は受験者の間では「暗記3兄弟」などと言われますが、これらの勉強期間は直前期に一気に詰め込むイメージで勉強します。
特に、中小企業経営・中小企業政策は今後紹介する勉強法を試験の次の日はすべて忘れるくらいの勢いで直前期に行うことで得点源にできます。
極論すると、暗記3兄弟は試験の1年前に勉強しても時間の無駄(言い過ぎ?!)になりますので詰め込み勉強での対応を基本とすればよいと思います。
計画はざっくり立てる⇒多少の遅延は気にしない
独学勉強法7つの重要ポイントでご紹介した 「重要ポイント3:計画はざっくり立てる」を実践し、勉強開始時にざっくりと計画を立てて勉強すると進度管理がしやすいです。勉強していると多少遅れることもありますがあまり気にしない方が良いです。
計画も科目ごとの詳細まで立てると、うまく進まないときにストレスになりますし、計画をこなすことに主眼がいってしまい理解しない項目をほどほどの勉強としたまま先に進むことが出てきてしまうといった弊害が出てくる可能性があります。
計画はあくまでこの科目は2か月以内に終わらせる!といったレベルに留めておき、その勉強期間中で1科目を仕上げる感覚で取組むのが良いと思います。
計画は精緻に立てるのもよいですが、社会人受験生が多いこの試験では突発的な仕事や飲み会が入ることもあると思われるため、科目別程度のざっくり計画がおススメです。
まとめ
次回は、科目毎の勉強法について、使用したテキストを紹介しつつ、期間内でどのように勉強したかをご紹介していきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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